この中国人の購買に欠かせないのが「買い物リスト」です。実際、先日中国人の友人をアテンドしましたが、奥さんや同僚から頼まれた買い物リストを持参していました。内容は魔法瓶、一眼レフ、セラミックナイフ、紙オムツ、目薬、化粧品など。新宿のビックロやマツキヨで、確かに20万円位買い込んで行きました。富豪クラスになると、ゴルフクラブのセットを毎月お土産に買って行ったり、最新のハイレゾ対応ウォークマンを10個買って配ったり、日本のアクセサリーを買いに青山の本店までプライベートジェットで乗り付けて3時間で1500万円分を買ったりと、まさに爆買いっぷりを発揮している人たちもいます。さすがにこれらは極端な例ですが、メーカーからすると、この「爆買いリスト」に事前に商品を入れ込むことが大事になります。その際に必須なのが、ソーシャルメディアの活用です。中国では基本的にニュース等の情報よりも、知人からの口コミが重視されます。先日も、日本のドラッグストアで買うべき「神薬TOP12」なるものが発表され、一瞬にしてウェイボー・ウェイシンで拡散され、その日のうちに新宿マツキヨの棚から商品がなくなったということがありました。
弊社にも、「この爆買いリストに自社製品を入れたい!」というお問合せが多数来ています。弊社の提携先であり、中国にある訪日専門の大手旅行代理店にも注文が殺到中。毎月日本に送る人数も約1万人を、ウェイボーのフォロワー数も100万人を、サイトのPVも月間1000万を超えています。当然、何でもかんでも「爆買いリスト」に入れれば良いというものではなく、大切なことは日本に来て良質な体験をしてもらい、リピーターになってもらうということです。先日中国人のお金持ちから依頼があったのは、刀鍛冶がゴルフクラブを作っているということを聞いて、そのクラブが欲しいということでした。これはどこでも同じですが、こうした製品の背景にあるストーリーや想いといった部分が大切になってきます。本質的な良さを追求しつつSNSで上手く拡散する、こうすることで爆買いリストに入れ込んで行くことが可能です。中国人観光客が増えすぎるとマナー問題等も起きるとも言われますが、中国人の購買力は日本経済にとっても大切な要素となりつつあります。観光客にも満足してもらい、日本側も喜べる環境作りが大切です。
文・写真:山本達郎
Tatsuro Yamamoto: IT企業経営者 1980年東京生まれ 慶應義塾大学法学部卒業。 在学中に「ログラル個人指導塾」を立ち上げ、3年間経営を行い売却。 大学卒業後、中国 北京語言大学にて中国語を学び、アメリカ カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)でPre-MBAコースを修了。 2006年4月に、中国で北京龍楽広告有限公司(北京ログラス)を設立し、インターネットサービス事業を展開。 2010年6月、「中国巨大ECサイト タオバオの正体」 (ワニブックスPLUS新書)を出版。