中国製品といえばプラスのイメージを抱かない方も多いことと思いますが、中には良いものもあります。私が中国の暮らしの中で使っている身近な品々を紹介させていただきます。
上海に住み始めた2006年、よく買い物に行くスーパーの棚で見つけたこのせっけん、当時は3元(50円)くらいだったと記憶しています。レトロな包装と白檀の香りが特長で、液体ボディーソープのぬるぬる感が苦手な我が家では体洗いせっけんとして度々登場します。泡立ちも良く、固めの質感はお風呂場向きでしょうか。洗い上がりはさっぱり、肌には翌朝まで白檀の香りが残ります。
パッケージ縦巻きの白い紙は開くと説明書になっていて、中国語だけでなく英語・フランス語・スペイン語表記もあります。中国の検索サイト百度によれば、製造開始は1928年と古く、中国から最も多く輸出されているせっけんとのことでした。日本では中華街やインターネットで購入できるようです。
最近購入したパッケージ(2014年12月製造)には偽物対策シールが付いていました。買い置きしてあった2013年5月製造のものは社名と所在地を示したシールでしたので、ここ1、2年で導入されたのでしょう。こうした偽物対策シールはお酒や食品でも見たことがあります。
試しに光る部分をスクラッチして、出て来た15桁を指定の宛先にショートメッセージしたところ、画像3のような返信があり、本物でした。長く愛用しているものなので、もし偽物に当たればすぐ気がつくとは思いますが、これで安心して使えます。
文・写真:勝又依子
「東洋のハワイ」なる海南島に旅したのは2007年の5月、空港の到着ロビーではムームーのような衣装の娘さんたちがバスケット片手に何やら配っています。トロピカルフルーツのキャンディー、ココナッツのお餅、そして一番多かったのがココナッツキャンディーでした。到着客に味見してもらって、帰りにお土産として買ってほしいということのようです。
ココナッツキャンディーのメーカーはいくつかありましたが、一番美味しかったのがこの春光のものでした。見た目や食感はチェルシーのバタースカッチに似ています。ココナッツミルク味のチェルシーといった感じでしょうか。
同じメーカーの円筒形のココナッツキャンディーはおそらく昔からあるタイプで、素朴なパッケージが可愛かったのですが、かなりの甘さでリピートには至りませんでした。
上海から北京に来た翌年の2008年、通い始めた学校が清華大学美術学院の漢語班(外国人向けの中国語コース)でした。月曜日から金曜日まで毎日4時間、文法・会話・作文などそれぞれの分野を4人の先生が担当、その中で精読の授業がとても楽しかったのを覚えています。先生は1947年生まれの女性で、北京の前門近くの胡同で育ち、以前は師範大学で中国人の学生に教えていたそうです。
精読の授業はほぼ毎日宿題とテストがあり楽ではありませんでしたが、先生は折々に旬の果物やお菓子などをクラスに持参しては私たちに食べさせてくれたり、体調が優れない学生がいれば漢方薬を紹介してくれたり、季節ごとに摂るべき食材を教えてくれたりととても親切で、彼女の人柄はもちろん授業の合間に耳にする身の上話もとても興味深く、楽しく通学していました。
冬のある日、先生がふと取り出したのがこの蛤蜊油(ガーリーヨウ)です。「これはずいぶん昔からあって、手にあかぎれができたりすると塗っていたのよ」と言いました。日本のオロナインやメンソレータムのような位置付けかもしれません。試しに使わせてもらうと、どっしりと重めの質感ですが、自分の体温でゆっくり伸ばしていくとしっかりベールになり優しいフローラル系のリラックスできる香りです。蛤蜊はハマグリの意味ですが、ハマグリエキスが入っているというわけではなく入れ物がハマグリということのようです。
以来7年、私にとって冬の乾燥する時期には欠かせないものになりました。小ぶりなので携帯にも便利ですが、そのままバッグに入れると何かの拍子で開いてしまって中がベタベタ、というリスクがありますからぴったりサイズのケースに入れて持ち歩いています。毎年秋頃にお店でまとめ買いしていたのですが、今回調べていたらネット通販の京東(jd.com)でまとめ買いすると少しお安くなるようなので次回から利用したいと思います。
文・写真:勝又依子