第5弾 北京に夢を求めてやってきた若者の姿

2016年8月30日 / 中国秀逸ドラマ



北京爱情故事


~北京愛情故事 (全39集)~

第5弾は地方から北京に夢を求めてやってきた若者を取り上げた“北京愛情故事”をご紹介します。タイトルから見ると若者の恋愛や失恋の軽い内容と思いがちですが、“外地人”と言われる地方から北京に出てきた若者たちの希望、苦悩や葛藤を切実に描いた作品で、すぐに引き込まれました。ドラマで何度も歌われる中国で大人気のロック歌手汪峰が切なく歌う“青春再見”が心に響きますが、これを見ないと代表作“北京北京”含めて彼の歌の意味はわからないと思いました。

さて物語は主人公の陳思成演じる疯子こと程锋、李晨演じる老吴こと吴狄、そして张泽演じる小孟こと石小孟の3人の大学同級生と、彼らを取り巻く女性と家族を中心に展開します。3人は北京での大学同級生で楽しいキャンパスライフを送りますが、卒業後北京でそれぞれの道に進むなかで厳しい実社会の現実が、彼らの環境と関係を大きく変えて行きます。疯子はその名前の通り投資会社社長の息子として経済的に恵まれ、自由奔放で仕事もせず女性を追いかける毎日ですが、早くに母親を亡くし家庭を顧みなかった父親に対する恨みを持ち心の傷を抱えたまま成長します。老吴は外資系メーカーに営業マンとして勤務しますが、学生時代からの彼女(杨幂演じる杨紫曦)が花屋さんを持ちたいという夢を叶えてあげられず、裕福な若者の下へ去ってしまいます。そして3人の中で最も成績優秀だった小孟は小さな広告代理店に勤務しますが失敗が多く成績は上がりません。

小孟はそんな中でも何とか資金を集めて大金で38㎡の小さなアパートの購入にメドが立ち、佟丽娅演じる田舎にいる幼なじみの沈冰を北京に呼びだすのですが、その彼女を疯子が好きになってしまうところから、3人の運命が大きく変わっていきます。

このドラマは地方から北京に出てきた若者がどのような境遇で生活しているかをうまく描いていると思います。社会で成功し豊かで安定した生活を送りたいと思うのは日本でも同じですが、中国は急速な経済発展の一方で、所得の大きな格差や社会保障等に多くの課題も有ります。厳しい競争社会の中でも大切にしなければならないのは何か、失ってはいけないものは何かを教えてくれます。周囲にいる中国の若者がおかれた状況を理解する上でも一度見てみて下さい。 

以上