中国ハンセン病快復村3「90後の大学生たち」 BBパートナーリレーコラム「日中コミュニケーションの現場から」第8週


 
村にて。右が方方(ファンファン)、左はハンセン病快復者


今回は私が中国ハンセン病快復村で活動を共にした90後(「ジョウリンホウ」、1990年代生まれ の世代)の大学生にワークキャンプを通してどのように自身が成長を感じているかインタビュー した結果をお届けしたい。

【方方(ファンファン)】 <プロフィール>
⚪︎中山大学医学部3年生(2015年)、大学にあるサークル“Allshare”を通じて、JIAの活動に参加。
⚪︎2013年に初めて甘石径という村で夏ワークキャンプに参加。
⚪︎これまで新沙、甘石径、大茅、馬州、紅衛など、様々な村を訪問。

(方方)ワークキャンプに参加する前は、人付き合いが下手で、性格はちょっとひねくれており、どうやって友達と付き合えばよいのか分かりませんでした。でも、初めてハンセン病快復村に訪 れた後は、思い出すのは楽しいことばかりで、次回村を訪問した際にどのように村人と交流しようかばかり考えています。なんか不思議な感じで、村を訪問するのがとっても好きになりました。

当時の私の性格は二重人格のようで、村に訪問している時はとっても親しみやすく明るいのに、普段は憂鬱で無口なんです。でも、何度も村に訪問したり、何度も自分のことを振り返っていると、徐々に村に訪問時と同じような朗らかな自分が普段の生活の中でも出せるようになり、周りの人に関心をもったり親しく接することができるようになりました。また、以前とは違って、独りよがりで人の意見を受け入れようとしなかったり、家族に対してもわがままに振舞うことはなくなりました。このように、どのように他人と親しくするかや、どのように人と付き合えばよいのかを学べたことがワークキャンプに参加して得た大きな収穫のひとつです。

村人も私たち学生が村を訪問するととっても喜んでくれます。なぜなら、村人に関心をもつことで、村人は外界と隔離されておらず、差別もされないし、普通の人と同じように接して理解し、親しくしてくれると思うからです。時には私たちを自分の子供のように思ってくれ、わざわざ料理を作って私たちにご馳走してくれます。このような交流を通して、関係が深まって行くことはとても気持ちがいいものです。

村人との関係が深まるだけでなく、ワークキャンプに参加したボランティア同士も共同作業を通じて親しくなります。よく連絡を取るようになり、普段の生活でもよき友達になります。このような掛け替えの無い友人たちも私が村で得た大きな収穫のひとつです。

<インタビューを終えて> 私がワークキャンプで活動を共にした方方はまさに親しみやすく明るい性格の大学生で、インタ ビューにあるような以前の暗く、人付き合い下手な様子は全くありませんでした。また、広東語が話せない私たち社会人のために村人との通訳を率先して買って出てくれたおかげで、村人との交流を楽しむことができました。

将来は医者になるために華南地域で最高学府の中山大学医学部に入学し、普段は必死に勉強する傍ら、このような社会的弱者へのボランティアを通して、心の優しい医者になりたいと熱く語ってくれました。大学教育を補完するJIAが果たす役割=『心の教育』の大きさに改めて気付きました。

以上

文・写真:大内昭典





Akinori Ouchi

投稿者について

Akinori Ouchi: 現在、日系事業会社の香港を拠点に中国関連の事業投資に従事、中華圏在住8年目。 1980年11月生まれ。大学在学中に日本の公認会計士試験(旧第二次試験)に合格。 大学卒業後、米系投資銀行でIPO引受/M&Aアドバイザリー、ネット系ベンチャーで事業開発を担当。 30代は「海外で活躍する」という夢を実現しようと、29歳のときアジアの時代に中国のトップビジネススクールである長江商学院に私費MBA留学。優秀なクラスメートたちに刺激され、卒業後は中国に残ることを決意。 留学や仕事で4年過ごした北京を離れ、2014年7月から香港へ移住。