連載10回は、吉林市で出会った中国地方都市の若者の素顔(後半)です。
「吉林の夜は屋台だよ」とyouthologyのメンバーHelenが教えてくれた。
同市出身の彼女とさっそくナイトバザールへ出かけた。歩行者天国にぎっしりと並ぶビニールテントの屋台では様々な食べ物が売られていた。店先に並ぶ海鮮や肉料理の豊富なこと、またそこに集まる人の多さには驚いた。活気に満ちているという印象だった。
話は吉林から変わるが、粉ミルクや牛乳、最近では私の大好きな羊肉串(ヤンロウチュアン)の羊肉偽造問題など、食品に関する悪質なニュースが目立つ。知り合いの中国人とこの手の話になると、日本の高度成長期の食品問題を指摘されることがある。問題摘発後の対処と、その事例によるモラルの形成が大切だと思うのだが、中国ではこの手のニュースが一向に止む気配はない。人口的絶対数が多い分、自然とこのような問題も日本のそれと比べると二乗されるのだろうか。兎に角、アパートの下に並ぶ小さな軒下食堂とでも言うべき低価格な食べ物に、これまでのように気軽に手が出せなくなったのは事実であり、悲しいことだと感じている。
吉林は東北(ドンベイ)地方に含まれる。ドンベイの人の気質は、かんしゃくもちで、気が強いと知り合いの中国人は教えてくれた。私の知り合いにも、多くのドンベイ出身の友達がいるが性分は皆それぞれだ。ただ、吉林のナイトバザールで出会った若者は、上半身裸で酒をグイグイ飲み干す、粋がいい青年達だった。元気な下級都市の若者達を見て、更なる発展を想像できたのも事実で、これは私が訪れた他の4つの下級都市すべてにおいて共通する感覚だった。彼らの前向きな明るさに触発され、中国理解を更に深めたいと強く感じた。