第2弾 愛情あふれる夫婦と家族の物語

2016年8月30日 / 中国秀逸ドラマ



父母愛情


~父母愛情 (全45集)~

2回目は“父母愛情”をご紹介します。物語の舞台は海と町並みが美しい青島。砲兵学校勤務の海軍軍人の(郭涛演じる江徳福団長)に“小資本家”と言われた資産家の娘(梅婷演じる安傑)が出会う場面から始まります。朝鮮戦争直後の時代は、国民党や台湾、米国とつながりの有る人々は“出身不好”として歓迎されませんでした。2人の出会いは砲兵学校が男女の出会いのため開いたダンスパーティで、主に農村出身の女性が招待されましたが、人数不足で資産家の娘安傑も一人参加しましたが、育ちの良さから周囲の女性とは明らかに違う存在でした。一方朝鮮戦争の英雄として既に砲兵学校で名声のあった江団長は美しい安傑に一目惚れします。当時は軍幹部と資産家との結婚には障害が多く、江団長は軍職と党員資格を失くしてまでの結婚を決意しますが、最終的に組織から許可を受けます。

こうして2人の共同生活が始まりますが育った環境が大きく異なるため、あらゆる場面で衝突が起きます。この衝突がとてもおかしいのですが、安傑がリードして江徳福がそれに慣れる形で2人の間の近くなっていきます。時代は文革となり安傑の姉夫婦は右派のレッテルを貼られ青島を追われ厳しい生活環境へ追い込まれます。一方江団長は参謀長に昇進して海軍基地の有る離島へと派遣となりますが、都会暮らしに慣れた安傑は当初島行きを拒否しますが、周囲の圧力でそれも難しくなり、ついに2人の子供を連れて離島暮らしを決断します。暮らし向きは不便でしたが、隣人や職場での人間関係にもまれ、様々な出来事が起こりながらも、5人の子宝に恵まれて幸せな日々を過ごします。子供たちも軍人を含めそれぞれの道を進みます。

やがて暗い文革の時代が終わって資産家の生活も平穏となり、退役後夫婦も青島に戻ります。最後の場面での子供たちからのプレゼントで、離島時代に毎日聞いた軍号(出勤や食事の時間を知らせるラッパの音)を2人肩を寄せ合って聞く場面はとても印象的です。日本との関係では離島生活の中で、“さよなら“と安傑が日本語で声をかけるのは日中国交が開かれた70年代でしょうか。当時中国で片言の日本語が流行っていたのかも知れません。

この物語は夫婦が家族や親戚、職場の人々に支えられて、さまざまな困難に遭いながらもともに老いて行く姿を生き生きと描いています。思わぬ優しさに支えられて涙を誘う一方、やきもちやおせっかい、小さな失敗等で笑いの部分も多く、美しい青島や離島を背景に、とても爽やかな気分にしてくれます。夫婦でこのような一生が送れたら素晴らしいと思わせてくれる素晴らしいドラマです。

以上