第6弾 40代夫婦の苦悩

2016年8月30日 / 中国秀逸ドラマ



人到四十


~人到四十 (全38集)~

第6弾は家庭を支える夫婦と家族の有り方を提起したドラマの紹介です。40代の夫婦といえば社会での責任も重く最も忙しい時期でもありますが、身近で大切なものとは何かを教えてくれます。

物語は王志文演じる小さな精神病院の主任医師の梁国輝が検査で肺がんが見つかり、余命半年の宣告を受ける場面から始まります。寿命が限られたものであることを知った国輝は自身の人生を振り返りはじめます。妻の江珊演じる郑洁は大病院の外科医師でもありますが、仕事と家庭とも多忙で、国輝とのすれ違いが多く家庭で口論が絶えません。一方国輝の勤務する病院では若手女医の王思思演じる华碩が、国輝から余命僅かな病気の話を聞き、自らの恋心を告白し、限られた残りの時間を精一杯ささげようとします。妻の郑洁は华碩と協力して国輝の最後の時間を大切に過ごそうと努力するのですが、手術の結果幸いにも肺がんは良性で一命を取り留めたところから物語の展開が大きく変わっていきます。

落ち着かない家庭状況から一旦は华碩に心が動いた国輝ですが、やはり家庭への責任感から华碩と距離を取り始めます。ところが国輝への気持ちが諦めきれない华碩はあらゆる手を尽くして引き戻そうとします。そして元々冷えていた国輝と郑洁との夫婦関係は华碩の存在をきっかけにして新たな展開が始まります...

夫婦役の王志文と江珊は主演とされていますが、私は华碩役の王思思にとても魅かれました。事実上の主役は彼女だとも思います。国輝への思い切った告白、懸命の看病、国輝から冷たくされた時の態度、妻の郑洁との緊張した会話、最後の別れなど各場面での豊な表現力に満ちた演技力に心惹かれます。特に21集で揺れ動く心を表した場面は本当に素晴らしく、私が数多く見た中国ドラマの中でも最も輝いた表現力を持った女性です。

ドラマでは何故かドラえもんの“のび太”と“しずかちゃん”の人形が愛情表現のシンボルとして登場しているのが印象的で、メインソングとして流れる王钲亮が切なく歌う“不曾分开”も心に響きます。40代の夫婦をベースにした人間模様を見事に描いた作品です。是非ご覧ください。

以上