第8弾 母親の家族愛

2016年8月30日 / 中国秀逸ドラマ



为母亲的名义


~以母亲的名义 (全38集)~

さて第8弾です。母親の子どもへの愛情を描いた “以母亲的名义”をご紹介したいと思います。このドラマには中国で活躍する日本人俳優、矢野浩二さんと田中千絵さんが出演しています。母親役の王雅捷演じる杜彩霞は訳あって4人の子どもを育てますが、実は自分自身の子は1人もいません。日中戦争から国民党との解放戦争を経て激しく変わる時代に翻弄されながらも、母親として強く生き抜いた女性の物語です。

国共合作時、杜彩霞は八路軍の地下工作員でしたが、日本軍との戦闘中に戦死した同志の子(念红)を預かることになります。更に日本軍の内部情報を得るため、将校家族の保母として潜り込むのですが、日本軍が敗走する中で残された将校の子(中生 日本人)を育てます。日本の投降後、長く行方の分からなかった八路軍の夫との再開を果たしたときには、夫は杜彩霞が戦死したものと思い既に別の家庭を持っていました。その夫も妻と一緒に解放戦争中の国民党との戦闘中に亡くなりますが、ひとり残された子ども(胜利)を預かり、更に縁あって知り合った子ども(向阳)まで引取り、自らは結婚しないまま4人の子どもを育てることになります。

女手一つでの生活は大変苦しかったものの、4人の明るい子どもたちや、同じ四合院に住む教師役の田中千絵さん演じる单秋雅や高云翔演じる洪大贵らの良き隣人に囲まれて、充実した幸せな時間を過ごします。そして時代は移り日中が国交回復し、中生の叔父として矢野浩二さん演じる程南山(日本人と中国人から生まれたハーフの設定)が現れます。程南山は日中戦争中は抗日運動に参加し、戦後中国で医者になった人物として描かれていますが、自らの家族を東京大空襲で失い、当時の中国政府の後押しもあり唯一の親類である中生を日本に連れて帰りたい一心で探していました。

しかしながら程南山は中生と杜彩霞がとても強い親子の愛情で結ばれていることを知り、ついには日本へ連れて帰ることをあきらめます。杜彩霞は当初反発しながらもしだいに程南山の人柄に魅かれ、ついに2人は結婚まで考えますが、中国での伝染病と戦っていた程南山は自ら感染で失明する事になり、ひとり日本に帰国します。やがて4人の子どもたちは成長し恋愛や結婚、犯罪なと様々な問題と直面しますが、杜彩霞の子どもへの愛情は全く途切れることなく、叱咤激励しながらも最後まで子どもを守ろうとする姿勢に心打たれます。

このドラマは戦争に翻弄されながらも、強い意志と愛情で家族を守った母親の物語です。日本との関係も多面的に描かれていますので、皆さん是非ご覧になって下さい。

以上