前回はJIAのワークキャンプに参加する現役大学生へインタビューしましたが、今回は卒業生2人にワークキャンプで何を得て、卒業後の人生にどのように役に立っているかを聞き取った結果をお届けします。
1人目:謝韵(しえゆん/seven)
<プロフィール>
・中山大学日本語専攻、2008年卒業
・2004年8月、大学2年時に初めてワークキャンプに参加
・在学中、広東省にある藤橋村で長期のワークキャンプに4回参加
・ショートステイの村訪問は、数えきれないほど参加
中には、ワークキャンプは村人のためにならないという人もいました。誰も使わないトイレやコンクリートの道を作っても意味がないって。でも、初めは使い慣れないトイレも、村人が1人、2人、4人と行くようになれば、村の衛生環境は絶対に良くなります。道だって、確かに足や眼が不自由な村人は歩けないかもしれないけれど、その道から外の人が村へ入って来られるようになって、村人にとってかけがえのない交流が生まれました。成果がすぐ見えなくても、大切なこと、変わることはたくさんあるはずです。
今はワークキャンプには参加できないけれど、ワークキャンプで得た勇気や信念、価値観は、自分を成長させ続け、人生を豊かにし続けてくれています。今では、ワークキャンプ当時の学びを日常生活で生かしています。
例えば、チャリティーやボランティア、環境保護、食品安全に対して意識を持つようになったのも、ワークキャンプと無関係ではありません。当時ワークキャンプに一緒に参加した同年代の日本人の考え方に刺激を受け、自分の周辺の環境に意識を向けるようになりました。商品、食料を購入するときは、出来る限り環境に害のないものを選んでいます。自分たち一人一人が購入するものをいかに選ぶかで、環境だけでなく、未来を変えることが出来ます。ひとりの力は小さいけれど、行動を持ってたくさんの人に伝え続ければ、多くの人が同じように考えるようになると信じています。また、より多くの人、特に子供たちに自然の素晴らしさを伝え、一緒に環境を守っていけるようにと思って、“鳥類、動物、昆虫、植物自然解説員”というトレーニングを受けました。今では、自然の中で私たちがどのように楽しむことが出来るかを人に伝える、簡単な資格を持っています。
2人目:張一冰(じゃんいーびん)
<プロフィール>
・広州大学広告学専攻、2012年卒業
・2010年、大学2年時に初めてワークキャンプに参加
・在学中は、広州地区委員会の資源情報チームの責任者を務めた
・2011年にJIA事務局でインターンを始め、卒業後JIA事務局で勤務開始、現在に至る。
ワークキャンプを通して学んだことのひとつに、ひどい条件下にあっても楽しい生活を自ら作り出すことができるということです。例えば、生活環境が不便なハンセン病快復村でワークキャンプをしますと古びたレンガ、たきぎ、料理器具だけでご飯を作るのはとても不便ですが、村で過ごす時間は短いので適当に食べ物をこしらえ、数日我慢すれば済みます。でも、私たちは自分たちでちゃんとした厨房やご飯が作りやすいかまどを作り、水を厨房まで引いてくれば、参加するキャンパーたちは楽しくそして気持ちよくご飯を準備できるのです。このように自ら進んでいやな生活環境を良いものに変えることで生きる希望ややる気がでてくるのが分かりました。
普段の生活でも嫌なことに出くわすと、「こういうものだ。ちょっと我慢すれば済むから。」と考えてしまいますが、もし自分から進んで状況を良くしようと行動を起こせばきっと状況は好転すると思います。私はこのように自ら進んで環境を変える行動力がワークキャンプを通じて身についたと思います。
以上
文・写真:大内昭典
Akinori Ouchi: 現在、日系事業会社の香港を拠点に中国関連の事業投資に従事、中華圏在住8年目。 1980年11月生まれ。大学在学中に日本の公認会計士試験(旧第二次試験)に合格。 大学卒業後、米系投資銀行でIPO引受/M&Aアドバイザリー、ネット系ベンチャーで事業開発を担当。 30代は「海外で活躍する」という夢を実現しようと、29歳のときアジアの時代に中国のトップビジネススクールである長江商学院に私費MBA留学。優秀なクラスメートたちに刺激され、卒業後は中国に残ることを決意。 留学や仕事で4年過ごした北京を離れ、2014年7月から香港へ移住。