台湾といえばやっぱり「グルメ」。ということで、今回は私が今ハマっている台湾B級グルメ、「滷味(lu3wei4、るーうぇい)」をご紹介します。
一回ハマると、とことん追究するまでやめられない性格の私は、先月滷味の美味しさに気が付いてしまってから今まで、ほとんど毎日のペースで滷味を食べ続けています。
写真1にあるように、お店の前には野菜や練り物やお肉系の具材が所狭しと並べられています。写真左下にあるような籠とトングを使い、それらの具材から自分の好きな物を取ってお店の人に渡します。あとは具材を煮込み、特製ソースや辛いソース、野沢菜のお漬物のようなもの、ネギなどのトッピングをかけて混ぜてもらうのを待つだけ!
お店によって味付けや使う食材、トッピングは全く違います。既に煮込んであり、冷たく冷やされているもの、その場でじっくり煮込むアツアツのもの、胡椒ベースのもの…あのお店なら豆腐、あの屋台なら砂肝、といったようにお店によって違うお気に入りもできて、研究すればするほどその魅力に取りつかれてしまいます。
台湾大学の付近だけでも滷味のお店が10件ほどはあるでしょうか。それほど台湾の方に愛されるB級グルメのようです。
以下、私が研究を重ねた、台湾大学付近の滷味店のご紹介です。
台湾大学キャンパス内、「滷冰花養生滷味」:
トッピングがかけ放題!味の調節が難しいですが、漬物やネギなどが取り放題なのが素敵です。店長さんがとても優しく、私が日本人だとわかると、日本についての話題を沢山見つけておしゃべりして下さるので、待ち時間もあっという間。「また来てね~」と言って手を振る店長さんの笑顔を見たらまた来ずにはいられません。
公館夜市付近、「公館卜乘輕食滷味」:
120元の綜合餐(総合セット)は、野菜と練り物系のなかからそれぞれ3種類を選べ、組み合わせによっては30元ほどお得になるのが嬉しいです。既に味付けされているので、待ち時間が少ないのも良いところ。味が浸み込んだ豆腐は格別です。
公館夜市入り口、「家鄉滷味」:
公館夜市で一番人気の滷味屋台。夜市値段で少し値段は高めですが、屋台のレイアウトが素敵で思わず買いたくなってしまいます。
台湾大学正門付近、「成記滷味」(写真3):
宿舎への帰り道にある、優しいご夫婦が営むお店です。すっかりお得意様なので、毎回行くと「また来てくれたのね~」とにっこりして下さいます。じっくりと煮込んだアツアツの滷味はビールのお供に最高✨部屋でひとり音楽を聞きながら、パジャマでゆっくり、ビールと滷味のお味を楽しむのがたまりません。砂肝ならココ!
いつも豆腐・黒木耳(きくらげ)・甜不辣(天ぷら、と呼ばれる練り物)・筍・キャベツ・砂肝、と決まったものばかり頼んでしまう私ですが、違う食材を食べ比べするのが次の滷味研究課題です。
中国語が全然できなかった先学期に、お店の方に話しかけられるのを怖がって食べなかったのを、今とっても後悔しています。たとえ早口の中国語が分からない日本人に対してでも、一見怖そうで、怒鳴ったりしているように見えても、お店の方はわざわざ買いに来てくれたことをきっと嬉しく思っているはず。
台湾B級グルメの代表、滷味を皆さんもぜひお試しください。
国立台湾大学で交換留学生として学んで早くも9か月が経ちました。留学生活も残り2か月、そして大学生でいられる時間も残り1年を切った今、学生の本分である大学での学びについて、少し真面目にご紹介したいと思います。
私が日本で通う国際教養大学では、大学の教育プログラムの一環として1年間の留学が義務付けられています。留学先で取得した単位はそのまま卒業の単位に変換でき、私の様に冬から(今年2月~)留学に行く学生は、就活の時期も逃すことなく4年で卒業することができます。しかし授業は全て英語で行われ、課題の量や授業態度なども厳しく見られるので、簡単には卒業させてもらえません。そのため、留学中に履修する授業は、卒業や将来の進路を見据えた残りの学生生活にとって、とても重要なのです。
学期の始めには、大学の学生専用のホームページから取りたい授業を登録します。人気のある授業は抽選となります。抽選にもれてしまった場合は、一回目の授業に行き、授業の履修に必要なコードが書かれた緑色の小さな紙をもらい、そのコードをホームページ上の履修登録画面に打ち込むことでようやく履修登録が完了します。
興味深い授業は山のようにあるけれど、自分の知識量・言語力・国際教養大学の教育カリキュラムと卒業条件、それら全てに合う授業を探し当てるのは一苦労。学生便覧とにらめっこしながらやっと取るのに成功したのが、写真2にある8つの授業です。
私が所属する学部、「国際教養学部」は、“専門がない”のが大きな特徴。“ある特定の分野だけでなく、理系も文系も問わない様々な分野を英語で学ぶ”それが国際教養大学の売りであり、私が入学を決めた理由です。どんな分野の話題を振られても興味を持って、自分なりの意見を言えるのが、私の学部の一番の強み。けれど同時に、知識力でそれを専門に学ぶ学生には及ばないことも多く、留学に来る前までは「自分は一体何をこの大学で学んでいるのだろう」とずっとモヤモヤしていました。
その考えを大きく変えてくれたのが、今学期履修している「Management(管理学)」の授業です。中間テストの対策として教科書を読み込むうちに、その原理の面白さに魅了され、自分の性格にもぴったりだと思うようになりました。ある特定の分野を「本気でもっと学びたい」と思ったのは、人生初めてでした。勉強の目的を見失いかけたり、悩んだりしたこともたくさんあったけれど、今までどの授業にも真面目に取り組んできたからこそ、こうして本当に興味の持てる分野に巡り合えたのかなと、自分の頑張りを久しぶりに褒めてあげたい気持ちです(笑)
サークル・部活動をする暇があったら勉強したら?…いやいや、勉強がおろそかになってしまってはいけないけれど、それと同じくらい部活動は学生生活において欠かせないもの。留学中であってもそう考えて過ごしています。
台湾に来る前から、大好きなダンスのサークル・部活動に入ろうとわくわくしていました。ところが、学期が始まって数週間過ぎても、入部に関する情報が全く流れて来ないのです!台湾人の友人に聞いても、「入りたい所のFacebookページを見つけて、入れてもらうだけだよ」と、新入生向けの入部説明会などは特に行われていない様子。その頃はFacebookページの中国語もよく分からず、一番入りたかったダンス部の入部の機会は逃がしてしまいました。
何人かの台湾人の友人に助けてもらって、何とか新入生歓迎会に参加し、入部することができたのが、今幹部を務めている「小海豚MV舞蹈社團(小海豚)」でした。 (名前の直訳は、“イルカミュージックビデオカバーダンス部”(ネーミングセンス笑)。正直、ダンスのレベルもジャンルも自分の求めるものから大分遠いものでしたが、新入生歓迎会の際、数人の部員が、中国語の全くできない私に英語で頑張って説明をし、温かくもてなしてくれたのが入部の決め手でした。
驚異のFacebook使用率(対人口78%!!!)を誇る台湾。運営や連絡はFacebookがなければ成り立ちません。練習日や発表会についての情報は全てFacebook上に流れてきます。部の練習ももちろん全て中国語です。皆が休憩時間などにおしゃべりをして友達を増やしていく中、中国語が出来なかった私は、なかなか打ち解けられず一人ぽつんとしていました。けれど「あの日本人」ではなく、「小海豚に欠かせない一員」になりたかったため、慣れない中国語のFacebookを必死で読み、リスニングを鍛えるためにも練習にはほとんど毎回参加しました。そんな最初の1か月は孤独感との闘いでしたが、そんな必死の努力の成果か、気づけば小海豚は自分の“ホーム”のような存在になっていました。部員はみんな優しく、効率やレベルが低くても日本の部活動のような厳しさは全くなく、いつも笑顔が溢れる小海豚が大好きで仕方がありませんでした。
6月に行われた発表会の前には、宣伝ビデオにも出させてもらい、装飾などのお手伝いにも時間があれば出来るだけ参加するようにしていました。当日は、500人以上の観客の方を前に、6曲を披露。小海豚のお蔭で、中国語の伸びも、国籍や文化の違いを超えて友人と一つのものを作り上げる達成感も得られた、本当に幸せな1学期でした。
2学期目になり、9月から新学期の始まる台湾では、小海豚も世代交代を迎えました。先学期の活躍が認められ、新しい世代の“隠蔵”幹部として、幹部の仲間に入れてもらうことに成功しました。幹部の仕事は、練習場の確保といった部の運営はもちろん、週末に2時間、ダンスを教えるのも大切な役割で、私も約20人を生徒に毎週中国語でダンスを教えています。
始めのうちは幹部になれたことをただ嬉しく思うばかりでした。ところが次第に、先学期には全く抱くことのなかった悩みを感じるようになっていきました。自分の意見を言っても、中国語が不自然だからか、大して考慮してもらえなかったり、ミーティングの効率の悪さに苛立ったり、小海豚の悪い噂を耳にしたり、1人でも多くの留学生にも入部してもらいたいとの思いで必死に英語や日本語で勧誘した部員が次々と辞めて行ったり…自分が幹部をやることが小海豚に悪影響を及ぼしている気がして、先学期はただ楽しかっただけの練習に向かう足が重くなったこともたくさんありました。
今でも時々、自分が幹部の一人として小海豚に十分に貢献できているのか悩みます。それでも中国語への劣等感を捨てて積極的に意見を述べ、自分にできることは何かをいつも探すよう心掛けるうちに、少しずつ幹部として認められてきているように感じています。始めは重荷だった中国語でのダンス指導も、だんだん容量をつかめてきました。
12月27日の部内発表会で、私の幹部としての役目は終わります。まだまだ部としての歴史の浅い小海豚が、いつか台湾で名の知られるダンス部になるように、 “隠蔵“幹部、まだまだ頑張ります!
自分にとって大切な友達は数えきれないほどたくさんいるけれど、「一番の親友はだれか」と聞かれて一番に頭に思い浮かぶのは、台湾人の親友の笑顔です。
国際教養大学(AIU)に入学後、国際的なキャンパス環境に慣れず奮闘している時期に、初めて一緒にいて心地良いと感じられた留学生が彼女、Aちゃんでした。共通の友人がいたのがきっかけで知り合いましたが、何がきっかけでこんなに仲が良くなったのか、二人ともあまりよく覚えていません。初めて二人でイオンに遊びに行ったときは(AIU生の一番の遊び場は最寄りのイオン…)、英語で会話をしていました。お互い長女だからか、少し心配性だけれど、困ってる人を放っておけない、そんな似ている性格や雰囲気が私たちを近付けたのだと思います。
Aちゃんの日本語力はAIUでの留学中にめきめき向上。気が付けば日本語での会話が増えていきました。私が今でも英語や中国語を使うときに、日本語を話すときにはない疲れや緊張感を感じるように、Aちゃんにとって母国語ではない日本語で日本人と会話するのは簡単なことではないはずです。それでも彼女の方から話題を振ってくれたり、よくご飯に誘ってくれたりするAちゃんの気持ちに応えたかったのが、第二外国語を中国語に決めた理由でした。
中国語の勉強を始めてからは、二人の会話に中国語も少し加わるようになり、また中国語を話すAちゃんの、日本語を話す時の彼女とは違う一面も見えるようになりました。日本語を話す時はかわいらしいけれど、母国語を話す彼女はかっこよくて先輩らしいのです。(実際にAちゃんの方が2歳年上)
AちゃんはAIUでの1年間の留学を終え、台湾に帰っていきました。見送り時に泣き出しそうな彼女の顔を見て、次に会うのは何年後になるだろうかと悲しくなったその半年後に、まさか今度は私が台湾に行くことになろうとは。AIUでは学校のカリキュラムで一年間の交換留学が義務付けられています。私は英語圏に行きたかったため、第1から第5希望まで、中国語圏でない国の大学を選び、冗談のつもりで書いた第6希望の台湾大学に決まるとは夢にも思っていませんでした。けれど今は台湾に留学できて本当に良かったし、Aちゃんとの友情や何かの縁が私を台湾に連れてきたのだろうと考えています。
毎日仕事で忙しくしているにも関わらず、Aちゃんは台湾で一人暮らしをする私を心配し、度々LINEや電話で気遣ってくれました。Aちゃんの実家にも度々呼んでいただき、彼女のお母さんにもお父さんにもとても可愛がってもらいました。「台湾は日本と似ているけれど、外国での生活はきっと慣れなくて大変なことも多いはず。辛くなったり寂しくなったらいつでも相談しなさいね。私たちはみなみの台湾のママとパパだから。」と言ってくれたAちゃんのお父さんとお母さんの言葉は、留学中の大きな支えでした。
ちょっとした愚痴から真剣な恋の相談まで、Aちゃんとは何時間一緒にいても話題が尽きることはありません。私が中国語を話せるようになってからは話題が更に広がりました。けれど悲しいことに、せっかく中国でも会話ができるようになったのに、2週間後には日本へ帰国せねばなりません。
キャリアアップのために欧米への留学も考えている彼女。帰国後は今度こそしばらく会えません。けれど、おばあちゃんになるまでずっと親友でいられるだろうと確信しています。友情は国境も言語も超えます、本当に。
約半年間、心がほっこりした瞬間や台湾人の温かさなど、台湾の良い所・台湾留学の魅力について記事を書かせていただきました。少し寂しいですが、そんな「台湾ほのぼの通信」も今回が最終回となりました。
中国での題材を主とするBillion Beatsさんに記事を書かせてもらっているからには、最後は“台湾と中国”について、少し真面目に自分の考えを述べて、ビシッと締めくくりたいと思います。
北東アジア学生会議の代表を務めていた際、“中国”と“台湾”の表記と扱いに常に細心の注意を払っていました。地理的な背景を踏まえ、会議に参加する日本・ロシア・韓国・モンゴル・中国・台湾を「6か国地域」と表記し、台湾を一つの地域扱いにすること、また中国を「大陸中国」と表記することが、団体運営の重要なきまり事になっていたのです。その理由は、中国代表へのメールの中で台湾を「一国」として数えたことが、彼を激怒させてしまったことがあったからでした。
けれど台湾人代表と打ち合わせをする中で、そんな中国人参加者を配慮した表記が、台湾人参加者を傷つけていることに、彼に言われた言葉で気が付かされました。「“6か国地域”という表記は、台湾が仲間はずれにされているように感じる。けれど台湾は国ではないから自分は何も言えない。」と。
台湾と中国の関係については、彼等の間だけでなく、専門家の間でも様々な意見があります。けれど多くの中国人にとって、台湾は自国の大切な一部。日本でいう北海道や九州のようなものでしょうか。
一方、台湾人にとって、台湾は台湾。「台湾人」としてのアイデンティティーをとても大切にしています。だから彼らは「中国人」と呼ばれることを激しく嫌い、中国との違いを誇りに思っている人さえ見られます。しかし台湾人代表が言ったように、政治的・歴史的には、現在台湾は一つの国として認められていません。「自分は台湾人だって自信を持って言いたいけれど、政治の問題を考えると“台湾人アイデンティティー”が一体何か、分からなくなる。日本人は自分の国があっていいね。」と台湾人の友人が悲しそうに言った瞬間を、今でもはっきりと覚えています。
台湾は「台湾」という一つの国か、中国か。
留学中ずっと考えてきたこの疑問への答えはまだ出ていません。台湾の蔡政権が掲げる「一国二制度の現状維持」も、両者の関係が曖昧なまましばらく続きそうです。
けれど、中国人と台湾人は親友になれないか。それは絶対に違う。上記に述べた学生会議で、中国代表と台湾代表が中台関係について一晩中語り合った後で、笑い合い肩を組んでいるところや、中国からの留学生が現地の台湾人学生と仲良くグループワークをする様子を目にし、そう強く信じています。
それに、私は日本人だけれど、「みなみの日本人らしくないところが好きだ」と言ってくれる留学生の友人が沢山います。留学中に大好きになった人も、すっかりアメリカ人だと思っていたら、台湾人とエジプト人のハーフだったとしばらく後から気が付いたし、言語交換の相手は台湾人だけれど中国の歌手が大好きです。
だから、相手を好きになるのに、どこの国の人かなんて関係ないんじゃないかな。
「台湾は台湾だ」
「台湾は中国の大切な一部だ」
どちらの考えを持っていたとしても、お互いが意見の違いを好きになれるように。
「台湾ほのぼの通信」を読んでくださる皆さんに、そんな願いが伝わったら嬉しいです。