台湾ほのぼの通信記 第13回

2016年12月10日 / 台湾留学ほのぼの通信



(写真:六月に行われた、一年で最も大きな発表会の様子。皆で一つのものを作り上げる感動は、海外にいても、周りの友人と国籍がひとり違っても、変わらず同じでした。)




「ダンス部“隠蔵“幹部」

 サークル・部活動をする暇があったら勉強したら?…いやいや、勉強がおろそかになってしまってはいけないけれど、それと同じくらい部活動は学生生活において欠かせないもの。留学中であってもそう考えて過ごしています。

 台湾に来る前から、大好きなダンスのサークル・部活動に入ろうとわくわくしていました。ところが、学期が始まって数週間過ぎても、入部に関する情報が全く流れて来ないのです!台湾人の友人に聞いても、「入りたい所のFacebookページを見つけて、入れてもらうだけだよ」と、新入生向けの入部説明会などは特に行われていない様子。その頃はFacebookページの中国語もよく分からず、一番入りたかったダンス部の入部の機会は逃がしてしまいました。

 何人かの台湾人の友人に助けてもらって、何とか新入生歓迎会に参加し、入部することができたのが、今幹部を務めている「小海豚MV舞蹈社團(小海豚)」でした。 (名前の直訳は、“イルカミュージックビデオカバーダンス部”(ネーミングセンス笑)。正直、ダンスのレベルもジャンルも自分の求めるものから大分遠いものでしたが、新入生歓迎会の際、数人の部員が、中国語の全くできない私に英語で頑張って説明をし、温かくもてなしてくれたのが入部の決め手でした。

 驚異のFacebook使用率(対人口78%!!!)を誇る台湾。運営や連絡はFacebookがなければ成り立ちません。練習日や発表会についての情報は全てFacebook上に流れてきます。部の練習ももちろん全て中国語です。皆が休憩時間などにおしゃべりをして友達を増やしていく中、中国語が出来なかった私は、なかなか打ち解けられず一人ぽつんとしていました。けれど「あの日本人」ではなく、「小海豚に欠かせない一員」になりたかったため、慣れない中国語のFacebookを必死で読み、リスニングを鍛えるためにも練習にはほとんど毎回参加しました。そんな最初の1か月は孤独感との闘いでしたが、そんな必死の努力の成果か、気づけば小海豚は自分の“ホーム”のような存在になっていました。部員はみんな優しく、効率やレベルが低くても日本の部活動のような厳しさは全くなく、いつも笑顔が溢れる小海豚が大好きで仕方がありませんでした。

 6月に行われた発表会の前には、宣伝ビデオにも出させてもらい、装飾などのお手伝いにも時間があれば出来るだけ参加するようにしていました。当日は、500人以上の観客の方を前に、6曲を披露。小海豚のお蔭で、中国語の伸びも、国籍や文化の違いを超えて友人と一つのものを作り上げる達成感も得られた、本当に幸せな1学期でした。
 
 2学期目になり、9月から新学期の始まる台湾では、小海豚も世代交代を迎えました。先学期の活躍が認められ、新しい世代の“隠蔵”幹部として、幹部の仲間に入れてもらうことに成功しました。幹部の仕事は、練習場の確保といった部の運営はもちろん、週末に2時間、ダンスを教えるのも大切な役割で、私も約20人を生徒に毎週中国語でダンスを教えています。



(写真:9月に行われた新入生勧誘イベントにて。大事な幹部の仲間です。)

始めのうちは幹部になれたことをただ嬉しく思うばかりでした。ところが次第に、先学期には全く抱くことのなかった悩みを感じるようになっていきました。自分の意見を言っても、中国語が不自然だからか、大して考慮してもらえなかったり、ミーティングの効率の悪さに苛立ったり、小海豚の悪い噂を耳にしたり、1人でも多くの留学生にも入部してもらいたいとの思いで必死に英語や日本語で勧誘した部員が次々と辞めて行ったり…自分が幹部をやることが小海豚に悪影響を及ぼしている気がして、先学期はただ楽しかっただけの練習に向かう足が重くなったこともたくさんありました。

 今でも時々、自分が幹部の一人として小海豚に十分に貢献できているのか悩みます。それでも中国語への劣等感を捨てて積極的に意見を述べ、自分にできることは何かをいつも探すよう心掛けるうちに、少しずつ幹部として認められてきているように感じています。始めは重荷だった中国語でのダンス指導も、だんだん容量をつかめてきました。

 12月27日の部内発表会で、私の幹部としての役目は終わります。まだまだ部としての歴史の浅い小海豚が、いつか台湾で名の知られるダンス部になるように、 “隠蔵“幹部、まだまだ頑張ります!



(写真:悩むことはあってもやっぱりホーム、皆家族のように仲良しです。)



Minami Kanazshi

投稿者について

Minami Kanazshi: 国際教養大学3年生の金指(かなざし)みなみです。 現在、台湾・国立台湾大学で、大学の授業に、中国語の勉強に、台湾人とのご飯会に、現地のダンスサークルでの練習に、毎日盛り沢山な留学生活を送っています。 美味しいものをたくさん食べて、たくさん運動して、あったかい現地の人とたくさん交流して。外見も内面も、“台湾美女“になって帰国するのが密かな目標です。 ゆるゆるほのぼのな台湾での留学生活を共有し、一人でも多くの方を笑顔にしたい、そう願って記事を書かせていただきます。半年間どうぞよろしくお願いします。 ・台湾留学生のFBページ ・台湾留学に関するFBページ ・国際教養大学の留学ブログ