朝食を食べ終えると,一旦長男JMの家へ戻ることとなった。川の氷面をすり足で前進していると、放牧されているらしいラクダや毛並みの良好な太った馬が点在しているのが前方に見える。腹部が丸々と膨らみ、栗色の毛並みは太陽光を鋭く反射している。ふと、私が暮らす北京市内の果物を売る荷台に繋がれた馬を思い出し、同じ馬ならこの谷がいいなと与えられる環境の不公平さを思った。
更に進むと今度はこちらを敵視している犬の群れに出くわした。足下の適当な石をすばやく拾った三女は、低く構えるその群れへ力強く投げ込んだ。それでも野犬か猟犬はうなりながら近づいてくる。拾う石も大きくなる。投げた数投が危険な集団をかすめていった。その瞬間、「行くよっ」と怯む犬群を置いて三女は駆け出した。
逃げ込むように次女ARの家へ辿り着くと、外では息子DNと弟2人が野鳥を捕る仕掛けで遊んでいた。もしや今夜は羊以外のものが食べれるのではとの期待が頭をよぎった。