無錫編 その2 ープレイルームでの一幕

お友だちができない!

無錫に住み始めた当初一番困ったこと。それは、ちょうど遊びたいざかりなのに、近くにうーたんと月齢の近いお友達を見つけることができなかったことでした。相方の職場の都合で、我が家は日本人ファミリーの多く住むエリアから遠く離れた市中心部に住んでいたせいもあり、他の日本人ファミリーと知り合うことがまったくなく、いろんな生活情報を入手する機会が皆無でした。
 中国では両親共働き家庭がほとんどで、専業主婦は希少人種。だから昼間、未就学の子供の面倒を見ているのは、おじいちゃま、おばあちゃま、もしくはアイさん(ベビーシッター)ばかり。彼らと出会っても私は中国語の勘が取り戻せず、コミュニケーションもままならない状態。お友達をつくるチャンスをつかめずにいました。



(写真)キッズコーナー併設のファーストフード店は多い。ママにも子供にも嬉しい


 我が家があった無錫市中心部は再開発中で、いたるところで古い建物の解体や地下鉄工事などが行われ、それにともなう砂ぼこりもひどいことひどいこと…。うーたんを遊ばせるどころか外出にも後ろ向きになっていました。
 日本では町内に一つは児童公園があるものですが、空気が悪いせいかこちらで見かけるのは室内プレイルームばかり。そもそも私も子供と真正面から付き合ってあげられる賢母でもなく…。結局家に閉じこもり、ビデオを見せたりして一日をなんとか消化してゆく日々でした。

勇気を出して外出、しかし…
 

 家で過ごす毎日にもやがて限界が訪れます。しだいに母子ともども家にいることに飽きてきて…。それに情けない話ですが、うーたんといると日々の家事もままならない状態でした。
 ある日ついに意を決し、うーたんと私、ふたりのストレス解消を兼ねて、平日昼間に室内プレイルームに出かけてみることにしました。
 私たちがたどりついた近所のデパートのプレイルームは、さほど広くはないのですが、ちょっとした滑り台や乗り物などがあり、うーたんは久しぶりの遊具を見て大喜び。その場にいた子どもたちに中国語でいろいろ話しかけられると、「ティンプゥトォン」(聞いても理解できないという中国語)であるにもかかわらず、無邪気に一緒に遊ぶわが子。
 「さすが子どもやなあ。いろんな先入観や理性やプライドなしで、素直に遊べてええなあ。私も見習わなあかんなあ」と妙に感心してうーたんの様子を見ていました。

 ところがしばらくすると、ある男の子の付き添いのおばあちゃまが怒鳴り始めました。
 うーたん、なんかした?と心配で様子を見てみると、ある男の子が遊具のブランコをそのおばあちゃまのお孫さんに譲らないことに腹をたて、子ども相手にケチをつけはじめているのでした。孫が可愛くてしょうがないんだなあと思っていると、
 次はそのケチをつけられた子どものパパらしき人が、応戦を始めました。うちの子に大の大人が何を言うんだと。
 ふたりは次第に感情的になりヒートアップ。



(写真)無錫市中心のど真ん中。地下鉄と再開発の工事中


 囲む野次馬も増え出して、大人たちの口論を横目に、ブランコに乗りたいおばあちゃまの孫が、譲らない男の子にパンチ!!
 それを野次馬たちが見逃さず、パンチした男の子とそのおばあちゃまを囲んで、文句を言い始め…。
 気づけばいったい誰が喧嘩の当事者なのかわからない状態に。
 おばあちゃまたちの怒りも収まる気配なし…。
 誰かが手を出そうとするところに、しぶしぶデパートの店員さんが現れ、みんなの間に入り、なんとか沈静化、やっと喧嘩終了…。
 やれやれと思いきや!
 まだまだ終了しません。多くの参戦者がその場を離れても、今度は野次馬のあるおじいちゃまが、店員の態度に何か不服があったのか、店員さんにクレーム、いやからみだしました…。

小皇帝たちの未来は?
 

 中国の子供は「小皇帝」(ひとりっ子「男」)で、両親、そのまた両親、つまり祖父母にとても大事にされて育っているとは聞きますが、ここまでとはと感心しました。実は私、ゆかっち自身も「小皇后」(ひとりっ子「女」)なんですが、ここまでのストレートな愛情表現をもらったことはないなあ。ちょっぴり羨ましい気持ちと、この先この子たちはどうなっていくんだろうかと心配な気持ちが交錯して、少し複雑な気分になりました。
 
 で、うちの小皇后うーたんはというと、そんな様子を見て、遊ぶ気持ちもそがれてしまったようで、その日はそのまま家路につきました。


Yukacchi

投稿者について

Yukacchi: 無錫在住の日本人駐在員の妻。家族構成は夫と4歳の娘。 いつの日か必ずやって来るであろう帰国命令に怯えながら(笑)、『日々楽しく』をモットーに『太太』生活を満喫中。現在ハマっているのは、中国茶藝と中国ドラマ。 中国滞在は3度目、通算5年。大阪府出身。