無錫編 その5 ー 幼稚園から進学サバイバルは始まる



(写真)幼稚園で遊ぶ


幼稚園から英語と算数

うーたんの通う幼稚園の校名は、☆★バイリンガル幼稚園となっています。ローカル幼稚園なので、バイリンガルといっても中国語と日本語のバイリンガルではなく、中国語と英語です。こちら中国では、以前にも書いたように子どもの立身出世を願う気持ちが強いせいか、幼少時から教育熱心。英語を重要視しているので、幼稚園から英語を勉強させるのに積極的です。
 というわけで、うーたんにも英語のレッスンが毎日あり、中国人の先生とネイティブの先生からそれぞれ1日1レッスンずつ受けています。以前にクラスメイトの中国人ママに、

「うーたんは日・中・英を話すトリリンガルなのね。いいわねえ」

と言われたこともありますが、2年通っての英語の成果はというと…。正直なところ、英語はそれこそ発音がなんとなく少しうまいといえるぐらいで。お世辞にも話せるとは言えないレベルです。
 ただ日本の英語教室と同じように、歌を歌ったり、リズムを踏んだり、ゲームをしたりしながら授業が展開されていくので、うーたんにとっては、とても楽しい時間。英語の授業は気に入っているようです。

 年少クラスの時は英語の他に週に2度、知能開発や算数の授業もありました。その授業のおかげで4歳前後にして「長方形・正方形・三角形」の識別もできるようになりました。足し算や「+1」の概念も身に付いています。

 量的には10分程度で終えることのできる宿題も週に2度だされ、週に1冊、中国語の絵本の暗唱もします。日本ではお受験用の勉強をする場合、幼稚園に行かせて、さらにその後塾に通わせなければならないので、教育熱心な親御さんにはありがたい環境だといえます。

 毎学期、中間・期末テストのようなものもあり、そのたびに各項目3段階評価の成績表をもらいます。うーたんが産まれて初めて成績表をもらってきたのは、2歳半すぎでした。こんな小さいころから成績表もらって…と当初は笑い話にしていましたが、一度英語の成績がどの項目もひどい結果になっていたときには、本気で落ち込みました(笑)。

 小さい子どもに勉強させることには、賛否両論ありますが、幼稚園が勉強の習慣をつけてくれるありがたさは感じています。たま~に自分でひらがなドリルを取り出してきて、「お勉強しよう」とおもむろに勉強をしだすことがあります。そんなうーたんを見ながら、「この習慣があと10年は続いてくれるように」と祈っています。

将来を見据えたサバイバル

 こんなに幼稚園でいろいろ勉強をしているのにもかかわらず、幼稚園が終わった後も中国ではお稽古事に通う子が多いです。先述した英会話、ピアノなどの音楽レッスン、バレエに囲碁、お絵かき教室、英語で教える体操教室などいろいろあります。以前は幼稚園で放課後の3時半以降、希望者に有料で知能開発、英語、絵画などの選択授業を行うサービスがあり、多くの子どもが居残ってがんばっていました。

 うーたんにも何かを習わせたいと思い、いろいろ調べて、今は週に1度だけピアノに通っています。どのお稽古事も学費は日本とほぼ同じ値段、もしくはちょっとは安いかなぁというぐらい。こちらで生活していると割安感を感じられることも多いのですが、幼稚園の学費もお稽古事のお月謝も、物価や年収から考えると高く感じられます。

 しかしこの教育熱、中国の子どもにとっては、どうなんでしょうか?実際にはもしかしたら大きなストレスになっているかも、と思うこともしばしばです。クラスメイトのひとりは、週6日お稽古ごとに通っているそうです。

 ある中国人ママさんは「中学までは国内でしっかり勉強させて、高校からは海外に行かせようと思っているの」と言っていました。中国は詰め込み教育がひどくて子どもの負担が大きいのに、たとえ大学に行けたとしても就職できない子どもが多い。多くの時間とお金を費やしても、結局就職できないのでは子どもにとって一番不幸。だから海外でいろんな経験をさせてあげたいんだそうで。ある中学校では希望者には、学校の先生の引率のもと、日本でいう夏休みホームステイに参加できるコースも設定されていると聞きました。

 私が初めて中国にやってきた15年ほど前は、エリート大学生でも自分の希望だけで海外に行くなんて難しい時代でした。今の中国の子どもには、多くの選択肢があって、多くの夢を持てる環境になっています。これが経済が発展することなんだと実感しています。

 進学校では小学生になった途端に一日をほとんど勉強に費やす生活になります。毎日宿題がでるのが当たり前。その宿題の量は多く、1年生から宿題をするのに2、3時間かかるのは普通だそうです。知人は、仕事で疲れていても、家に帰ると息子の宿題を毎日見てやっています。親がまだ自分で見てあげられる場合はいいんですが、おっつかない場合は宿題のための家庭教師を毎日つけている人も。そんな生活が大学受験まで続くんですから、本当に中国の子どもも親御さんも精神的にも金銭的にも大変です。



Yukacchi

投稿者について

Yukacchi: 無錫在住の日本人駐在員の妻。家族構成は夫と4歳の娘。 いつの日か必ずやって来るであろう帰国命令に怯えながら(笑)、『日々楽しく』をモットーに『太太』生活を満喫中。現在ハマっているのは、中国茶藝と中国ドラマ。 中国滞在は3度目、通算5年。大阪府出身。