無錫編 その7 無錫の病院にデビュー 2



(写真)ローカル病院での点滴の様子。点滴も自己責任です


前回のあらすじ
 うーたんがケガ!ということでローカル病院にデビュー、日本の病院とは違うローカルの洗礼を受けたのでした…。

ここが違う、日本と中国の病院

 ちょっとびっくりなローカル病院デビューを飾った我が一家。その後いろいろ調べてみると日本語を話せるアシスタントサービスの通訳アテンドをお願いすれば、煩雑な手続きも言葉の心配も軽減することがわかりました。しかし、その後幼稚園に通い始めると病院に行く回数も増えて、今度は新たな問題点が見えてきたのです。

  無錫は日本人医師が常駐する病院はなく、病院にかかるとなるとローカル病院、もしくは欧米・外資系病院で診てもらうか、車で片道1時間の蘇州市にある日系診療所まで行かなければなりません。子どもの体力が落ちているときに車での長時間移動することを考えると、いっそ無錫のローカル病院に行くべきか?といつも迷い、判断が遅れてしまいます。

日本にいても通院となるとなかなか的確な判断ができないのですが、ローカル病院に行くとなると、言葉の問題に加え、診療体制、治療方針など、お国変われば当然変わる、これらのことが気になります。
 その違いの中でいつも特に悩んでしまうのが、医療方針。中国でも病院では西洋医学を学んだ先生が診てくださいます。しかし中医学の考えが生活の根底にあるこちらでは、中医学の診療所も数多くあります。小さな子どもが風邪を引いたときにも生薬(日本でいう漢方薬)を処方されることは多く、うーたんもローカル病院に行くと西洋の薬とあわせて生薬も必ず処方されます。

 生薬は体によさそうだし、うーたん自身苦くてもごねずに飲んでくれて助かるのですが、治りが遅いこと遅いこと。一度うーたんが高熱を出した時、ローカル病院にかかって薬をいくつか出してもらいました。しかし出された薬が抗生物質・熱冷まし以外は生薬ばかり、3夜続けて熱が38℃以上になったために体力も落ちてきて、結局蘇州の日系病院まで行くはめになりました。

 もうひとつ気になるのが、血液検査をすること。白血球の数値をみて症状を判断するのです。日本では発熱や風邪で血液検査をすることは少ないと認識していますが、こちらでは血液検査をすることが多いようです。点滴もよくすすめられます。私は点滴というものはそれほど体力がおちていない状態でするものでないと思っているのですが、友人の中国人ママが「子どもは鼻水が少し出たら幼稚園を休ませ、さらに少し状態が悪くなったら、病院に連れていって点滴を受けさせる」と言っていたのには驚きました。

 そんなにも点滴をしたがるのに、うーたんの風邪の治りが悪くて、少し痩せてきたように思えたので点滴を望むと断られることもあり、治療方針がよくわからないのです。今までの自分が経験したことは異なる方法を見かけることが多いので、一つ一つ神経質になってしまい、介抱と不安と心配でこっちも滅入ってしまうことが多々あります。

その病気で出席停止?

 お国変われば事情も違う、出席停止になる病気も違います。

 中国では数年前に手足口病になった子どもが重篤化し、死に至ったケースがあったため、それ以降、手足口病を発症した子どもは約2週間の出席停止になっています。ですから手足口病のシーズンには学校も保護者も敏感になり、毎年流行シーズン前には必ず注意勧告のお知らせが配られます。クラスで一人でも手足口病が発症すると、発症した子はもちろん、それを聞きつけた保護者が健康な子どもも幼稚園を休ませたりします。

 2012年の夏休み前、友人の子どもが通うローカル幼稚園のクラスで、一人が手足口病にかかりました。すると感染防止のため自主的に欠席する子が増え、あっという間に30人いたクラスの出席者が8人程度になってしまったそうです。その後、他のクラスでも感染が確認されると、発症元と思われる友人の子どものクラスは学級閉鎖。 その2、3日後には幼稚園ごと閉鎖になりました。日本では手足口病で学校閉鎖など、私は聞いたことがなかったのでとても驚きました。日本で学級閉鎖といえばインフルエンザですが、ローカル病院ではインフルエンザの診断はありません。血液検査でウィルス性か細菌性の風邪かを判断するのみです。ですから、私の周りではインフルエンザで学級閉鎖という話を聞いたことがありません。

 またワクチン注射も日本では認可されていないものが認可されていて打つことができたり、親の自己責任になりますが、外国製か国産かの選択肢があったりして、そこは少し羨ましかったりします。

 私が日本にいるときには、いつもお医者さんのおっしゃるままの受け身でした。お医者さんを信頼していてお任せするばかりで、薬の効用などあまり深く考えたことはありませんでした。しかし中国に来てからはもっと慎重にいろいろ考え、無知さを責め、責任をもたなければと考えるようになりました。

 うーたんが病気になると、いつも脳をフル回転させて悩むことになります。発熱すると家中が落ち着かなくなり、介抱と心配ばかりでこちらも疲れてしまいます。
日本にいても中国にいても、どこにいても体調管理は自己責任。病院がどうのこうのといろんな心配しないためには、体調がすぐれない時には重症化する前に体をよく休ませてあげるのがうーたんにも私にも相方にも最良で最善、と肝に命じながら、私たちは無錫で3年目の冬を迎えます。



Yukacchi

投稿者について

Yukacchi: 無錫在住の日本人駐在員の妻。家族構成は夫と4歳の娘。 いつの日か必ずやって来るであろう帰国命令に怯えながら(笑)、『日々楽しく』をモットーに『太太』生活を満喫中。現在ハマっているのは、中国茶藝と中国ドラマ。 中国滞在は3度目、通算5年。大阪府出身。