さて今年の夏休みは2か月丸々日本に帰国、ピアノレッスンはお休みです。それでも日本でピアノ嫌いがどうにかなればと私の母の力も借りて、毎日ではないですが練習を重ねていました。そして夏休み明け、2か月ぶりのレッスンに行くと…
「にーはお、先生、お久しぶりです。」
「にーはお、早速ですが10日後に発表会があるから、頑張りましょう」
おばあちゃんちはどうだった?とか、練習してた?とかないの?それに発表会って何?と面食らいながら、
「え?いやいや、無理ですし、おっしゃる日は予定があります」
とやんわりお断りしてみても、
「いえ、全員参加なので、都合をつけてください」とけんもほろろ。
どう考えても時間的にも無茶な話。どう断ろうかと悩んでいるうちに
「では、この曲で」と先生は曲を選択し、レッスンを始めました。
先生が選んだ曲は、初見でしかも見開き2ページの曲。
「先生、暗譜なんですか?」
「もちろん、暗譜です」
「えええええええええ!!」
…いやいやそれ、初見でしょ?うーたんのモチベーションと実力を考えても無理ですってと反論する間もなく、先生はレッスンを進めます。
横から「夏休みまでに練習した曲ではだめですか?」と聞いてみても、先生は首を横に振るだけ…。しかし、いやまてよ。これはうーたんにとってピアノの転機になるかも?発表会に出席できなくてもどこまでやれるのか試すいい機会になるのでは?と、とりあえず、私はピアノレッスンを見守りました。
そして発表会当日!
残された10日で課題曲を仕上げるため、夏休み明けレッスンから3日後に再度レッスンをすることとなり、中2日で課題曲を少しでも上達させなければと頑張りました。いやいやピアノに向かううーたんが少しでも前向きに効率よく曲をこなすため、まずは教本の付録のCDで課題曲を聞きながら何度も歌わせて、リズムを覚えさせてからピアノにむかって練習という私なりの秘策を編み出し、それを試みると、なんと今までが嘘のようにうーたんは見開きの課題曲の半分を弾けるようになったのです。
そうして臨んだ、次のレッスン。練習してきた曲を先生に披露したら、なんと!
「やはり間に合わないので、夏休みに練習した曲にします」と曲変更。
…だから言ったやん…。この3日の頑張りどうしてくれんねん。と先生を少々恨みもしましたが、心の何処かでほっとしたのも確かです。
その後の1週間、うーたんと私は毎日ピアノの練習をしました。いつも以上に。いや頑張りました。うーたんも少しずつピアノに積極的になり、暗譜もなんとかクリア。自信をもって、いざ発表会を迎えました。
そして発表会当日
発表会当日は予定があったため、うーたんはトップバッターを務めることになっていました。うーたんと私は早めに会場に入り、自信をもって自分の出番を待っていました。すると同じ教室に通う、何をさせても優等生という噂のクラスメイトが現れました。彼はこの夏休みに3級を合格したという話。さっそく彼がレッスン室で練習するのをこっそり聞かせてもらうと、レベルの違いがすごいこと。長い曲をきちんと弾き、さらにやっと暗譜までごじつけたレベルのうーたん演奏とはちがい、曲に感情まであります。聞いてはいたけど、すごいなあと感心していると、うーたんは一目散で他のレッスン室へ。自分の曲の完成度の低さにやっと気付いたのか、一心不乱に練習をし始めました。何度か練習した後、私にしがみつき
「ママ、どうしよう…」と。
緊張に満ちた表情でつぶやきました。胸に手を軽くあてると、心臓の鼓動が強く感じられます。
発表会がどうだったかというと、先生が忘れていたためにうーたんは2番手となり、1番目の子が演奏をとちったため、少しリラックスしながら弾けたようです。演奏前の挨拶でど忘れして曲名を言えず、会場から暖かい笑いと拍手をもらいながらのスタートでしたが…。
演奏を終えたうーたんに、どうだった?と尋ねると
「楽しかった~」
「ピアノ楽しい?」
「うん」
つい10日前までやめさせようかと真剣に悩んでいましたが、あれから2か月、以前よりはピアノに積極的に取り組むようになりました。そしてついに赤のバイエルをもらい、私もうーたんも大喜び。けど、そんな喜びもつかの間、その赤いバイエルは、今度は私、ゆかっちに暗雲をもたらすことに…。これについては次回お話したいと思います。
Yukacchi: 無錫在住の日本人駐在員の妻。家族構成は夫と4歳の娘。 いつの日か必ずやって来るであろう帰国命令に怯えながら(笑)、『日々楽しく』をモットーに『太太』生活を満喫中。現在ハマっているのは、中国茶藝と中国ドラマ。 中国滞在は3度目、通算5年。大阪府出身。