そんなこんなで、バスは目的地のカウボーイ村に2時間半ほどかかりやっと到着。うーたんはバスの中で楽しく遊べたようで、満面の笑みを浮かべて友だちとじゃれていました。相方と私は、あまりの長旅に少々げんなり気味。相方にいたっては、初の遠足参加にも関わらず「来なくてよかったんじゃないの?」と目的地に足を踏み入れる前から言い出す始末…。引率の副担任も「1時間半ぐらいで着くって聞いてたんだけど…」とつぶやいていました。
そういえばここに着くまでバスの添乗員らしきお兄さんが、携帯アプリのナビを片手に、運転手に道の指示をしてました。プロの案内人、添乗員でさえこんなんだから、結局結果オーライならいいんだろうなあと、しみじみ考えていました。
カウボーイ村に到着して、まず少し広めの原っぱで、クラスごとに集まりなんとなく時間を過ごしていました。何をするのかわからないまま突っ立っていると、相方の顔がさらに曇りだします。急いで副担任に確認してみると、保護者によるクラス対抗の綱引きをするので待っていてとのことでした。
やがて大人の手で握るとちょうど一回りするくらいの、少し細めで長い綱が登場。それでクラス対抗綱引き大会をするとのことです。綱引きするにはちょっと細い印象ですが、子どもがするんだろうなあと思っていると、あるクラスの保護者たちが綱を握り始めました。あれ?大人がするんだと見ていると、引っ張り始めてしばらくして、
「ぶちっ!!」
綱が切れました…。
幸い尻餅をついた人はおらず、大事にはいたらならなかった様子。このあとどうするんだろう?と見ていると、切れたところを結び直して試合再開…。しかし引っ張りだしてしばらくすると、案の定、綱はまた切れ…。2回ほど綱がきれてやっと大人同士の戦いは休戦に。
次にうーたんのクラスが戦いに挑みました。今度は子どもだけです。しかし綱を握る子どもたちの横に保護者が群がり、綱の周りは人でもみくちゃに。正直綱引きどころではありませんでした。私にはただ、もみくちゃになっていた子どもたちがドミノ倒しにならないように気を配っていたことぐらいの記憶しかありません。そんなこんなでぐだぐだ綱引きも終了し、その場で解散。自由行動となりました。相方もほっとしたのか、うーたんと楽しそうに歩きだしました。
みかんはひとりいくつまで?
カウボーイ村では子どももアスレチックや乗馬などが楽しめます。スワンにも乗ったり、お友達と遊んだり、うーたんもかなり楽しんだ様子。最後はクラスごとに集合して写真を撮りカウボーイのパレードを見て、バスに乗り込みました。
カウボーイ村を出発すると、今度はみかん狩りです。
みかん畑に着き、バスから降りて、クラスごとに決められた畑に到着。副担任が、
「袋を用意していますか?どうぞここでみかんを採ってください」との指示が。
誰かが「何個採ってもいいですか?」と質問すると「たくさん採っていいですよ~」という回答が。
そう聞いた私たちうーたん一家。まずひとつ採って味見。甘さも酸っぱさもあって程よい完熟度、とってもおいしい。さあこれは採らなければと、家族3人はりきってつみだしました。けど摘むに従い、なんとなくちょっと遠慮気味になり、結局15個ぐらいまでにして、エコバッグに入れたみかんを眺めていたところ、副担任がやってきて、
「採っていいのは味見をするための1個だけらしいです。帰りに一家族一袋、みかんのおみやげがあるそうです」
「え?こんなに採っちゃったよ…大丈夫?」
と言ってると、クラスメートのママが
「大丈夫大丈夫、気にしない」
って、いいんかい!
ふと周りを見ると、20個以上のみかんを持っている家族も。袋を忘れたママにビニール袋を渡す人もいました。ってそれは私です。(笑)
郷に入っては郷に従え
今回の遠足を通して学んだのは、いろんな出来事にいちいち驚いてばかりではダメだということ。そもそも中国では計画があっても段取りというものがないので、様々なハプニングに要領よく順応することが肝心なんじゃないでしょうか。それがこちらで生活する上で必要な『臨機応変』なのかも?と思うようになりました。
それに比べ、日本では『細部まで段取りも心遣いも行き届いたサービス』を当然のように受けることができるので、私は知らず知らずのうちに受け身のままでも問題なく過ごせる環境に慣れすぎているではないかと思うのです。その日本でのスタンスのままでいると、ここではストレスばかり貯めこむことになるのではないでしょうか。古人の言う『郷に従う』とはこういうことなんだろうなぁと実感しました。
ちなみにうーたん、この無錫でたけのこ掘り、ザリガニ釣り、桃狩りを経験してきており、そして今回はみかん狩りです。日本ではなかなか機会に恵まれないような経験ができて、親としてはありがたいです。
で、みかんですが、やはりお土産に配られたみかんより、私達自ら採ったみかんのほうが断然美味しかったことは言うまでもありません。
Yukacchi: 無錫在住の日本人駐在員の妻。家族構成は夫と4歳の娘。 いつの日か必ずやって来るであろう帰国命令に怯えながら(笑)、『日々楽しく』をモットーに『太太』生活を満喫中。現在ハマっているのは、中国茶藝と中国ドラマ。 中国滞在は3度目、通算5年。大阪府出身。