<第7話>明治維新とサブちゃんとひばりを愛するベーカリーオーナー、28才

<筆者プロフィール>

大山廣貴:
1986年東京生まれ。私立武蔵高校、早稲田大学理工学部卒。大学在学中は体育会ラクロス部に所属。 2010年株式会社商船三井入社。関連会社出向、本社経営企画部を経て2016年8月より、上海にあるChina Europe International Business School (CEIBS)に現在会社からの派遣でMBA留学中。

ブログ: CEIBS MBA日記 (http://ceibs2018.hatenablog.com)

<紹介文>

第1、2回では、大山さんがなぜ会社の制度がない中で、社費留学制度を作ってまで、中国MBAに行きたかったのか。第3回では、なぜ中国人エリートの働き方に興味をもったのか。第4回以降は、中国人同級生の取材を通してこれからの中国人エリートの働き方にせまります。

 

 

<第7話>明治維新とサブちゃんとひばりを愛するベーカリーオーナー、28才

中国人同級生 Rolex Shu
1988年、中国浙江省生まれ。高校まで浙江省で育つ。ノッティンガム大学(中国、寧波キャンパス)在籍時に、Enactus(当時はSIFE。次世代のビジネスリーダー育成を目的としたNPO。アメリカ・ミズーリ州本部。世界37ヶ国、1600を超える大学の62000人以上の学生が参加する) の年に一度の大会で、自身の発案した事業で中国国内で優勝、世界大会でも準優勝する。卒業後は、父親の経営する医療・薬局事業の会社に入社し、主にロジスティクスの改善を行う。2015年、ハッピーベーカリー(ベーカリー事業)を起業し、中国国内に現在8店舗、90人程の社員を抱え、年商約1500万元(約2億5千万円)まで成長している。

早稲田に交換留学中、日本でパン職人をスカウトしたい

大山:まさか母校の早稲田大学でロレックスに会えるとは思わなかったよ(笑) 

ロレックス:早稲田大学への交換留学プログラムは来年の2月までで、多分CEIBSの交換留学プログラムの中では、最も長いと思う。このプログラムが終わるまでには日本語をマスターしたい。というわけで、今日のインタビューは日本語で答えてもいいかな?(笑)

大山:もちろんいいよ。ロレックスは日本語はどうやって勉強したの?

ロレックス:中学生の時から日本の歴史にとても興味があって、大河ドラマを観たり、演歌を聞いたりして、日本語を勉強したよ。演歌だね。北島三郎とか美空ひばりが大好きだ。最終的な目標は、戦国時代の読み物、例えば、甲陽軍鑑とか太平記とかを原文で読めるようになることだよ。

大山:なるほど、それでロレックスと日本語でしゃべっていると戦国時代みたいな言葉遣いが散見されるんだね(笑)。ところで日本に興味を持っていた以外に交換留学先を日本にしたのは何か理由があるの?

ロレックス:今ベーカリービジネスをやっているけど、日本はこの業界でかなり進んでいる。だから、日本に来て、良い技術を見つけてそれを持ち帰りたいのと、できたら優秀なコックを見つけられたらと思って日本を選んだよ。実は今日も都内の専門学校にいって、キャリアセンターと話をしてきたよ。そこは10−15%くらいの卒業生が中国人みたいだから、優秀な人がうちに興味をもってくれたらいいね。

大山:さすがロレックス。昔からビジネスに興味があったの?

ロレックス:そうだね。父親がビジネスをやっていたからその影響かな。大学時代は、Enactusでマイクロファイナンス(貧困層向けに小口の資金融資のスキーム)のビジネスを立ち上げて中国国内で優勝、全世界でも2位になることができたよ。

大山:さすがだね。大学卒業後は、お父さんの会社に入ったんだよね?

医者から起業家に転身した父の事業を手伝う

ロレックス:父親は元々医者だったんだけど、今は事業家で浙江省で病院や薬局の経営をしていて、僕は父親のビジネスを手伝うことにしたんだ。とにかくいろいろやったね。倉庫の管理から、薬局の店長まで。

大山: 経営を直に学べているのに、なんでまたMBAにいくことにしたの?

ロレックス:父親の会社で3年位働いたんだけど、浙江省はまだ田舎で、他の大きな都市ではとてつもないスピードで変化が起きている。自分は井の中の蛙じゃないかって、ある時気付いたんだ。それでMBAに行くことを決めたよ。
だけど、MBA受験は本当に苦労したよ。特にGMATは半年間勉強して、4回受けたけど満足行く点数が取れなかった(GMATは年間5回までしか受験できないという制限がある)。ただし、CEIBSでは、特別にCEIBSテストというものをGMATの代わりに用意してくれている(GMATの代わりに、その学校独自の試験を用意していることがある。形式はGMATと同様で、GMATの点数が十分な受験生はGMATの点数を利用する)。だからそれに賭けることにしたんだ。そしたらたまたま、そのテストの読解問題の一つが、中国の歴史に関するものだった。だから高得点を取ることができたんだ。本当にラッキーだったよ。

大山:ロレックスはCEIBSで一番、歴史について詳しいものね。世界史全般とても詳しい、日本史もとても詳しい。恐らく僕含めてほとんどの日本人より日本の歴史に詳しいと思うけど、日本の歴史に興味を持ったきっかけは何だったの?

ロレックス:日本の歴史はとても興味深いね。日本は2回ミラクルを起こしていると思う。1つ目は明治維新。もう1つは戦後復興だね。この2つを知ってから日本の歴史に興味を持って勉強するようになったよ。

ベーカリー経営とMBAの両立はスーパーハード

大山:ベーカリーの経営をしようと思ったのはどうして?

ロレックス:大学時代に公認会計士の勉強をしていて、ベーカリービジネスの利益率の高さを知ったんだ。そして研究していく内に、中国のベーカリーは日本より30年くらい、他のアジア諸国よりも10年以上遅れているのではと思うようになり、ビジネスチャンスがあると思ったんだ。実は個人的な都合で、CEIBSには合格したんだけど、1年間入学が遅れることになった。その1年の間に、時間もあったから起業することにしたんだよ。地元に1号店をオープンして、すぐにビジネスを軌道に乗せることが出来た。

大山:CEIBSの授業が始まってからは大変だったでしょう?

ロレックス:2015年8月にCEIBSに入学してからは本当に大変だった。特に最初の半年は課題がとても多いからね。毎週金曜日の深夜に2時間位運転して、故郷のオフィスに戻って朝2時位までミーティング、翌日の午前中にCEIBSに戻るという生活を毎週続けたよ。

大山:すごい、僕は授業でもいっぱいいっぱいだったのによくそれが続いたね……。

ロレックス:今までの会社の歴史をざっと説明すると、2015年5月に最初の1号店を、2016年1月に2号店を開店させ、それから順調に店舗を増やして、2017年3月に8号店を出店させたよ、全部浙江省内だね。今年は、それ以上拡大させずに、1店舗辺りの収益を増やすことに注力したよ。後、今年大きな工場を作ることを決めて、2017年6月から工事を始めて、今建設中で来月完成予定だよ。銀行への借金返済が大変だよ(笑)。

大山:ロレックスはCEIBSに入学してからも、1年間休学しているよね?

ロレックス:2015年8月にCEIBSに入学して、年末まで頑張ったんだけど、事業が拡大し過ぎて、2016年の1年間は休学することを決めたんだ。その1年間の間に、自分がCEIBSで卒業まで授業を受けている間、事業を任せられる者を育てようと思ったんだ。結果的に、台湾人の良い人が見つかって、競合他社から引き抜いて、今は彼が頑張ってくれているよ。

大山:事業を拡大するプランはあるの?例えば上海に進出とか。

ロレックス:3年以内に40-50店舗まで増やしたいと思っているよ。だけど、上海や北京といった1級都市は、競争が激しすぎて進出する予定はないね。競合の少ない都市を狙って出店するよ。

大山:ロレックスが思う今まで一番大きな失敗ってなに?

ストライキも経験。理想の結婚は自立し合った夫婦

ロレックス:失敗かどうかわからないけど、今年の年初に、従業員にストライキを起こされてしまったことかな。丁度CEIBSに復学したタイミングで、鎮火させるのにとても大変だったね。

大山:その年でストライキされた経験がある人もなかなかいないと思うけど、どうやって鎮火させたの?

ロレックス:全従業員90人位の内、約20人が、ストライキに参加していたんだけど、話をしていく内に、主犯格が数名とそれ以外の大部分は流されたフォロワーということが分かったんだ。主犯格の数名は主張を聞いて、これは辞めてもらった方がいいと判断したんだけど、フォロワーのその他大勢については、特にコック達は戻ってきてもらいたいと思ったんだ。だから、個別に一人一人電話で交渉して、給料を上げる代わりに戻ってきてもらうように一人一人説得していったよ。

大山:ロレックスはまだ独身だけど、理想の夫婦像とか、家族像とかってある?

ロレックス:理想の夫婦は、お互い独立していて、ハードワークな夫婦だね。そしてできたら子どもは3人くらい欲しいね。父親が医者で、僕は頭が悪くて医者にはなれなかったけど、もし優秀な子どもがいたら医者になって父親の設備機器を継いでほしい。その場合は、医療はアメリカが進んでいるから、アメリカに留学もしてほしい。だけど僕みたいに頭がよくなかったら、ビジネスの道に来ると思うから、そうしたら中国以上にチャンスのある国はないと思うから、この国で教育を受けて欲しいかな。

大山:ロレックスも相当優秀だと思うけどね。 ロレックスの夢は何?

ロレックス:ハードワークしている従業員全員がリッチになって、彼らが自分の夢を掴んで幸せになることかな。 

大山:なるほどね。もし将来、従業員が独立したいって言ったらロレックスはどうする?

ロレックス:従業員に辞めると言われたら、まずは今の自分の組織に何かしら問題があるというサインのことが多いから、自分自身の組織を見つめ直すね。その後に、もちろん引き止めるけど、それが従業員の夢であれば、資金援助含めて全力で応援することを誓うよ。

大山:最後に何でロレックスという名前をつけたの?笑

ロレックス:自分の英語名を決める時に、何かシンプルで覚えやすい名前がいいと思ったんだ。それで考えている時に、たまたまロレックスの看板が飛び込んできた。他に同じ名前をつけてる人にあったこともないし、覚えやすい。即決したよ(笑)

大山:さすがロレックス笑 今のところ他にロレックスさんには会ったことないよ(笑)


<第6話>ファミリービジネスは映画製作。自立して、喜ばれる仕事を

<筆者プロフィール>

大山廣貴:
1986年東京生まれ。私立武蔵高校、早稲田大学理工学部卒。大学在学中は体育会ラクロス部に所属。 2010年株式会社商船三井入社。関連会社出向、本社経営企画部を経て2016年8月より、上海にあるChina Europe International Business School (CEIBS)に現在会社からの派遣でMBA留学中。

ブログ: CEIBS MBA日記 (http://ceibs2018.hatenablog.com)

<紹介文>

第1、2回では、大山さんがなぜ会社の制度がない中で、社費留学制度を作ってまで、中国MBAに行きたかったのか。第3回では、なぜ中国人エリートの働き方に興味をもったのか。第4回以降は、中国人同級生の取材を通してこれからの中国人エリートの働き方にせまります。

 

 

<第6話>ファミリービジネスは映画製作。自立して、喜ばれる仕事を

中国人同級生 Duan Josephine:
アメリカ国籍。1990年シアトル生まれ、3歳までシアトルで過ごす。その後中国に移り、15歳まで上海で過ごした後、高校から大学卒業まで再びアメリカへ。エモリー大学では認知心理、言語学を学び、卒業時には最優秀卒業生に与えられるSumma Cum Laudeを受賞。全米各大学の優秀学生のみ入ることの出来るPhi Beta Kappaのメンバーでもある。大学卒業後、日本の楽天に就職。3年間働いた後、CEIBSに入学。今はPLACE MAKER社にて、ドラマ・映画制作に携わっている。

面接は英語。楽天で国内営業3年

大山: このキレイなオフィスタワーに今Josephineが働いている会社が入っているの?

Josephine:そうだね。CEIBSでの卒業単位はクリアしたから、今はフルタイムで働いている。実は、ファミリー・ビジネスなんだけどね。

大山:仕事の話は後半に聞くとして、まずはJosephineの生い立ちについて教えてよ。両親は中国人なんだよね?

Josephine:うん中国人の両親の元に生まれたよ。だけど生まれたのはアメリカのシアトル。3歳までシアトルで過ごした後に、上海にやってきて、中学校卒業する15歳まで上海で過ごして、そのあとまた、高校進学のためにシアトルに戻ってきたんだ。

大山:なるほどね。ご両親の仕事は何をやっているの?

Josephine:両親は二人共弁護士だよ。父親はアメリカの大学を卒業して、アメリカで働いていたんだ。
大山:わお、ご両親もエリートなんだ。そして、Josephineはエモリー大学(米国ジョージア州)を卒業した後に日本にやってきたんだよね?

Josephine:そう大学を卒業して、もともと日本に興味があって、日本語を勉強していたこともあって、日本に行くことにして、楽天に就職したんだ。

大山:なんでまたいろいろな選択肢の中で、日本を、そして楽天を選んだの?

Josephine:アメリカの会社に就職したら一つの専門職について、それをずっとやらなきゃいけない。だけど、日本の会社にはジョブローテーション制度があるって聞いたんだ。まだ自分のやりたいことが何かわからなかったし、いろいろな仕事ができる日本の会社の方があっていると思ったんだ。ちょうどその時、楽天で働いていた人が大学に来て、話を聞く機会があって、その人がとても魅力的だった。楽天はその時初めて知ったけど、受けてみることにしたんだ。

大山:面接は日本語でやったの?

Josephine:面接は英語でやったよ。その時の私の日本語はまだまだ全然上手ではなかったからね。面接をしてくれた楽天の人達は、とても英語が上手だったよ。何人かはアメリカの大学を卒業していたみたい。そして面接してくれた人達もとても魅力的だった。だから楽天で働くことを決めたんだ。

大山:楽天での仕事は何をしていたの?

Josephine:それが、なんとドメスティックな国内営業だったんだよ。そしてそのチームに女性は自分ひとりだけだった。

大山:えっ日本語できなかったのに?

Josephine:本当にユニークな経験だったよ。てっきりインターナショナルな仕事をするのかと思っていたから。でもその時のチームメンバーが本当に素晴らしくて、仕事が終わった後につきっきりで、日本語含めて、仕事について教えてくれて、それで一気に成長することができた。チームメンバーには本当に感謝しているよ。

大山:もちろん教える方もすごいと思うし、そういう逆境を乗り越えるJosephineはやっぱりスゴいね。毎日夜10時くらいまでは日本語の勉強をしていたの?

Josephine:もともとチャレンジしたりすることが好きだからね。夜10時に終わったら大分早い方だね(笑)
大山:アメリカ、中国、日本と経験したわけだけど、どの国が一番好き?(笑)

Josephine:難しいけど、住むなら中国か日本かな。アメリカは地域によって全然特徴が違うから、本当にどこに住むかによると思う。シアトルはとても良い場所だったけどね。

大山:なるほど、そういえば旦那さんとも楽天で知り合ったんだよね?

Josephine:そうなんだよ。インターナショナル採用は秋に一斉に入社するんだけど、その中の一人で、同期にあたるね。やっている仕事は全く別で、彼はデータアナリストをしていたよ。彼は韓国人で、 韓国の大学を出た後にシンガポールへの留学を経て、楽天に入社したんだ。

大山:彼もJosephineみたいに日本語上手なの?

Josephine:それが彼の方が日本語上手なんだよ。私の日本語は英語交じりだと彼からよく言われる(笑)。彼は日本に来てから日本語の勉強を始めたんだけど、ものすごいスピードで成長して、彼曰く韓国語と日本語は近いから簡単だって言っているんだけど……

大山:もちろん相当努力もされたんだろうね。旦那さんは韓国人、Josephineはアメリカ人だけど国際結婚で何か難しいことはある?

Josephine:今のところ、難しさを感じたことはないかな。彼の両親ともとても仲良くしていて、年に2回くらいは韓国の彼の実家に行くようにしているよ。これから子どもができた時に難しさが出てくるかもしれないけどね。
大山:話をしていてもJosephineが楽天のことが好きで、楽天での経験が素晴らしいものだったということがヒシヒシと伝わってくるんだけど、旦那さんも楽天に対しては同じような気持ちなのかな?

Josephine:彼の所属していたチームもファミリーのような本当に良い雰囲気のチームで、彼も私同様かそれ以上に楽天が大好きだよ。もちろん運良く、素晴らしいメンバーに恵まれたというのはあると思うけどね。

ファミリービジネスに生かすため、MBAへ

大山:そんな大好きな楽天を三年で離れるんだよね?何かきっかけはあったの?

Josephine:日本に行く時に父親と3年したら中国に戻ってきて、ファミリー・ビジネスを手伝う約束をしていたんだ。それで、3年経って、ファミリー・ビジネスを継ぐにしても私にはまだ全然経営の知識が足りないから、まずはMBAに行こうと思ったんだ。CEIBSを選んだのは父親がとても熱心にCEIBSを勧めてきたのがきっかけかな。中国でMBAだったら絶対にCEIBSが良いって。結局、私もCEIBSを気に入って、他の学校は受けなかったよ。

大山:ご両親は弁護士だし、ファミリー・ビジネスは法律関係の仕事?

Josephine:いや、ドラマとか映画とかを制作しているメディア関係の会社。父親は弁護士なんだけど、もともと脚本とかとても興味があって、いつか自分の作品を作りたいとずっと思っていたみたいで、今は自分の夢を実現している。映画もドラマも彼が脚本を書いているよ。今年ドラマをリリースして、今は丁度映画の制作のまっ最中。20人程の小さな会社だから、同時に複数のことはできなくて、今は映画に集中しているよ。

大山:その中でJosephineの役割は?

Josephine:今の自分の役割は表現するのはとても難しい。20人しかいないから明確なジョブディスクリプションがある訳ではないし、映画の撮影も会社として初めてだし、何でもやっているよ。映画の宣伝はもちろんのこと、今度日本人のカメラマンを雇うんだけど、そういう人のリクルーティングとかまでやっているね。

CEIBSでいちばんよかったのは、組織運営の授業

大山:Josephineの経歴ってピカピカだけど、挫折した経験とかってある?

Josephine:去年8月にCEIBSに入学するまでの間、半年間今の会社で働いたんだ。その時に、この業界の知識も経験も全くないのに、一方でファミリー・ビジネスということで、役職だけはベテランの従業員の人達よりも上になって、プレッシャーからくる焦りでとても大変だったよ。

大山:なるほどファミリー・ビジネスには必ずある問題かもしれないね。

Josephine:結局今になって思うと、勝手に自分で自分を追い込んでしまっていたんだと思う。会社のメンバーはとても良いメンバーばかりで、何でも教えてくれるし。当時は知識はないけど、役職は上だから誰にも相談できないと勝手に思い込んでいたんだ。

大山:Josephineの中で、CEIBSの授業で一番役に立った授業は何?

Josephine:Organizational Behaviorの授業が、とっても役に立っているよ。こんな組織のマネージの仕方があるのか、組織運営における引き出しが増えたね。後は、ケーススタディを通じて、世界中皆自分と同じようなことに悩んでいることがわかって、自分だけじゃないって少し安心したかな。

大山:旦那さんも今の会社で働いているんだよね?上海に行くと言った時に、彼の反応はどうだった?

Josephine:彼の反応はとてもポジティブだったよ。上海は素晴らしい場所だし、ビジネスチャンスがまだまだある場所だからね。

夫は韓国人。お互い自立して好きな仕事をしていきたい

大山:Josephineはどうするの?一緒に日本に行くの?

Josephine:彼が正式に日本で職を見つけて、日本に行くことになったら私もついていくよ。幸い、今やっているメディアの仕事はフレキシブルで、遠隔にいてもできることはあるし、日本マーケットの開拓もできるし、ポジティブに捉えているよ。
大山: 全ての変化をポジティブにもっていけるのは、やっぱりすごいなぁ。Josephineにとって理想の家族像とか、夫婦像ってどういうもの?

Josephine:やっぱり自分の両親みたいに、きちんと二人共自立して、好きなことを仕事にして楽しんでいる夫婦かな。自分もそうなるんだと思う。

大山:まだ先のことはわからないとは思うけど、子どもを持ったらしようとか、どうキャリアを両立させるかとか、現時点で考えはある?

Josephine:現時点では本当にノープランなんだけど、私は大学で心理学を学んで、生まれてから最初の2年が子どもに与える影響がとても大きいということを学んだから、子どもが生まれたら2年間は仕事をセーブして子育てに専念したいなとも今少し思っているよ。CEIBSの子育てしている女子同級生たちは、みんな本当にたくましくて、尊敬しているよ。

大山:日本も頑張って女性の社会進出の後押しとかをしているけど、中国との違いは何だと思う?

Josephine:やっぱり一番大きいのは、家族のあり方の違いだと思うよ。中国では、親が孫の面倒をみて、自分たちは働くというのが一般的な形として染み込んでいるからね。日本に住んで思ったのは、日本の方が家族のメンバーがより独立しているかな。私の母親は、普通の中国人と違うから、子供の面倒をみてくれるかどうなるか心配だけど(笑)。あと、このあいだ会社に産休から復帰した女性がいたんだけど、彼女になんで復帰したのか聞いたら、 社会につながっていないと不安だから、母親に子供の面倒を任せて仕事に復帰したとも言っていた。働いてる方が子育てよりよっぽど楽だとも言っていたよ(笑)。

大山:Josephineの将来の夢は?

Josephine :今の会社を大きくして、メディア業界を代表するような企業に育てる!みたいな野望はないんだ(笑)。今は両親をサポートしているけど、誰かをサポートして、誰かが喜んでくれたら、私はそれで十分。みんなが喜んでくれるようなことを、これからも続けていきたい。
大山:応援しています。今日は忙しいところ、ありがとう!


<第5話>MBA中に出産。それがなにか?家族が支えるMBAママライフ

<筆者プロフィール>

1986年東京生まれ。私立武蔵高校、早稲田大学理工学部卒。大学在学中は体育会ラクロス部に所属。 2010年株式会社商船三井入社。関連会社出向、本社経営企画部を経て2016年8月より、上海にあるChina Europe International Business School (CEIBS)に現在会社からの派遣でMBA留学中。

ブログ: CEIBS MBA日記 (http://ceibs2018.hatenablog.com)

<紹介文>

第1、2回では、大山さんがなぜ会社の制度がない中で、社費留学制度を作ってまで、中国MBAに行きたかったのか。第3回では、なぜ中国人エリートの働き方に興味をもったのか。第4回以降は、中国人同級生の取材を通してこれからの中国人エリートの働き方にせまります。

 

 

<第5話>MBA中に出産。それがなにか?家族が支えるMBAママライフ

中国人同級生 Tina:
1984生、新疆ウイグル自治区生まれ。2004年に高校進学のため上海に移住、以降ずっと上海在住。上海財経大学にて、Eコマースマネージメントを学び、IBMコンサルティング、アビームコンサルティングにてITコンサルタントとして働いた後、CEIBSに入学。趣味はバトミントン、ランニング、水泳。

夫は料理担当、両親が子育てをサポート

大山:Tinaと言えば、MBA期間中に出産して、お腹も大きい時は本当にこっちがハラハラしたよ。けどすぐに復帰したよね?

Tina:皆と一緒に卒業したかったから、すぐに学業に復帰したよ。12月中旬のTerm2の最終試験を受けて、2月頭のTerm3の途中に復帰したんだ。1ヶ月位休んですぐに復帰したね。それでも必修科目をいくつか取れなかったから、来年また1学年下の代に混じって取らないといけないけどね。こんなに早くにカムバックできたのは周りの人のサポートのおかげだよ。

大山:家族は心配しなかった?1年間休学して子育てに専念するっていう選択肢もあったと思うけど。

Tina:実は家族は、1 年間の休学を私に勧めたよ。MBAだけでも大変な負担だから、皆私と赤ちゃんの体を心配してくれた。だから私もCEIBSの卒業生や、学校の事務局とよく相談したんだ。最終的には1. 赤ちゃんの産まれてくるタイミング、2. 学校からの素晴らしいサポート、3. 自分の性格(今までの経験上、粘り強く全ての困難を乗り越えられる)。この3つから総合的に判断して自分で決めたよ。みんな私の最終的な決断を尊重してくれて、サポートしてくれたよ。

大山:旦那さんは何をしている人?

Tina:PwCでITコンサルタントをしている。実は高校の同級生なんだ。

大山:Tina自身もIBMコンサルティングでITコンサルタントだったもんね。同じ職種なんだね。二人とも働いていたら、家事の役割分担とかはどうしているの?

Tina:実は料理は、夫が家にいる時は夫がしてくれる。彼の方が料理は得意だから。彼は上海人なんだけど、上海の家庭の8割は夫が料理をしていると言われているって知っていた?これは他にはない上海の特徴の一つだね。夫も上海人なんだ。

大山:本当に……?! 僕は料理できません(涙)

Tina:大学時代、大学の同級生3人と4人で寮に住んでいたんだけど、私以外は皆上海が地元の子達で、週末になると彼女達のお母さんが交代交代で私達の部屋の掃除やベッドメイキングや掃除等をしにきてくれたり、料理を作ってくれた、まるで阿姨(あーいー:お手伝いさんのこと)みたいに。だから私達も勉強に集中することができたんだけど、これは上海だけの特殊な事情かもしれない。

子育てと仕事、続けるための三択

大山:仕事、家庭、子育てとどうやってバランスとっている?

Tina:方法は3つあると思っている。一つめは、両親の住んでいる実家に子供を預けてしまうケース。ベビーシッターを雇うにも高いし、良いベビーシッターを探すのは大変だから両親が近くに住んでいたり、孫を毎日見たい両親には最適だね。

大山:その場合は、頻繁に実家に帰って子供に会うんだね。

Tina:中国はとても広いので実際はそんなに頻繁に帰れない。動画を送ってもらったり、動画でコミュニケーションをとったりすることが多いかな。CEIBSの同級生もこのケースは多いよ。そういえばCEIBSの同期のママ専用のWechatグループがあるの知っていた?ベビーシッターの話題はホットな話題だよ。二つめは、両親のどちらかに来てもらって子供の面倒をみてもらうケース。うちが今このパターン。ただし、彼らも自分の仕事が故郷であるし、そもそも上海の生活があまり好きでないから、今後もサポートしてくれるか話し合っているところ。
そして3番めがベビーシッターを雇う方法。ベビーシッターの料金はどんどん上がっている。Wechatグループで話をしているのは、中国人ベビーシッターの月の最低料金が月大体8000元くらい。ただし、これは経験のないベビーシッターの料金で、優秀なベビーシッターの場合はこれよりもっと高い。

大山:政府は何かサポートしてくれているの?

Tina:政府はベビーシッターのトレーニングを積極的にしてくれている。ただ私の感覚では、形だけのトレーニングで、それを受けたからと行ってベビーシッターが必要なスキルを備えているかというと別問題。

大山:日本人ではまだベビーシッターの活用はそこまで多くないんだけど、一番大きな理由はベビーシッターを信頼できないという理由があると思う。

Tina:それは中国でも同じ。ベビーシッターが職務を放棄して、実際は部屋でテレビをずっとみていたり、そもそも子供に興味がないのに、他に職がないため、仕方がなくベビーシッターをしている人もいる。もちろん中には子供が大好きでベビーシッターをやっている人もいるけれど。だから、基本的にはみんな家中にカメラを設置してずっとスマホでベビーシッターの動向を確認している。

大山:家中にカメラはすごいね……。

Tina:その労働環境が嫌でやめるベビーシッターもいる。けどそれ以外に赤ちゃんの安全を守る方法がないんだよ。今、中国に複数大きなベビーシッターのエージェントがあるんだけどまだどこも信頼できるレベルには達していないかな。まだまだ成熟していない業界で、逆に言えば、この業界はビジネスチャンスがあるよ。

大山:さすがMBA生(笑)。フィリピンとか、他の国から出稼ぎにくるベビーシッターはいないの?

Tina:フィリピン人のベビーシッターが最近中国市場に入ってきたよ。感覚的にはベビーシッターを利用している99%の家庭は中国人ベビーシッターで、1%がフィリピン人ベビーシッターかな。そしてWechatのグループチャットでもまさに話題になっていたところで、フィリピン人ベビーシッターの方がとってもプロフェッショナルでしかも英語の教育にもなる、料金も一番安くて13,000元くらいだから、そこまで中国人ベビーシッターと変わらないことを考えると、今後フィリピン人ベビーシッターを活用する可能性はかなり高いと思う。

大山:中国人はとても子供の教育に熱心だけど、Tinaもいろいろ考えているの?CEIBSの周りには本当にたくさんのインターナショナルスクールがあるけれど。。。

Tina:もちろん。中国ではトップの中学も、高校も公立の学校なんだ。だけど中国の教育の問題は、勉強しかさせないところ。もし将来インターナショナルな職に着きたかったら勉強だけ、ペーパーの勉強だけじゃだめだと思っているから、かなりインターナショナルスクールに興味をもっている。ただし問題は、一度インターナショナルスクールを選んでしまったら、もう二度と中国の教育システムには戻れない。途中から中国の教育システムに戻った場合、最初からそのシステムの中で競争させられている子供達とは勝負にならない。だから基本的には大学は海外に行くことになる。いずれにせよ、親が判断して子供に道を示してあげないといけないね。

猛烈に働いて稼ぎたい。それは家族のため

大山: Tinaの理想の家族像、夫婦像を教えてよ。

Tina:本当は大きな家に、子供、夫婦、両親みんなで住んで暮らしたい。だってみんなファミリーだから。そのために、頑張って稼がなきゃいけないからCEIBSを選んだんだ笑

大山:だけど旦那さんも忙しいんじゃない?

Tina:夫の仕事はとても忙しい上に、出張も多いので私は、こないだ旦那にクレームしたよ。これだけ出張が多くて家に不在だと子供の教育に悪影響があるって。そしたら転職も考えるよと言っていたよ(笑)

大山:日本では働く女性を増やそうと政府が動いているけど、中国ではどう感じる?

Tina:私個人的には中国政府は特には何もしていないように感じる。そして日本人の感覚にそもそも違和感を感じる。なんで今まで学校で勉強を頑張ってきた女性が、急に家で家事だけすることができるの?だったら最初からそんなに勉強を頑張る必要なんてないんじゃないかな。私の大学の同級生女子全員、結婚後も仕事を当然続けているよ。そもそも上海の生活費、住宅費は毎年毎年上がっているから、共働きでないと家計を養えないっていうのが最も大きな理由だと思う。あとは 中国の年金は日本に比べてしっかりしていないから今のうちに頑張って働くしかない。だからわざわざ政府が後押しする必要なんてなく、皆自然と頑張って働く。あと個人的には、もし夫だけが働いていたら何を買うにも夫の許可をとらなきゃいけない、それはとてもストレス。自分で働いている限りは、自由に買い物もできるからね。

ワークライフバランスより、ハードワークで社会貢献

大山:今日本ではワークライフバランスがとても重視されているし、中国でもそうだと思うんだけど、Tinaはどう?

Tina:ワークライフバランスを重視するんだったらMBA には来てないんじゃないかな(笑)。私はハードワークしてお金を稼いで社会に貢献したい。

大山:将来のキャリアプランについて教えてよ。

Tina:私は教育業界にとても興味がある。中国の教育業界はまだまだ発展途上、それ故に英語をまともにしゃべれる人もまだまだ少ない。CEIBS卒業後は、教育業界の会社で働いて、空いている時間で自分の会社を立ち上げる準備をしたい。もちろん教育関連の会社を立ち上げたい。ある程度収入の見込みがたったら、その会社を退職して、自分の会社一本でやっていきたい。

大山: 確実に家族や働き方に関する考え方は、親の世代とは変わっているね。

Tina:物理的な意味での家族と過ごせる時間というのは、親の世代よりもどんどん少なくっていると思うし、それを覚悟しないといけない時代だと思う。だけど、そのせいで家族愛が薄くなっているかといったら全く別問題。どこにいても家族は家族だし、愛情は変わらない。一番大事なのは変わらず家族。

大山:今まで生きてきて一番失敗したことってなに?

Tina:数年前に上海市内に家を買おうか検討していた時に、最終的に買わなかったこと。結局夫が家を買うことに乗り気じゃなかったんだけど、その後半年に二倍になって、その後もぐんぐん上がっている。だからその時は夫を怒ってしまったよ(笑)。家の値段に比べたらMBAの学費は全然大したことないね。

大山:さすがTina、最後に現実的な話をありがとう(笑)。


<第4話>エリートエンジニアがHuaweiを辞めてMBAに学ぶ理由

<筆者プロフィール>

1986年東京生まれ。私立武蔵高校、早稲田大学理工学部卒。大学在学中は体育会ラクロス部に所属。 2010年株式会社商船三井入社。関連会社出向、本社経営企画部を経て2016年8月より、上海にあるChina Europe International Business School (CEIBS)に現在会社からの派遣でMBA留学中。

ブログ: CEIBS MBA日記 (http://ceibs2018.hatenablog.com)

<紹介文>

第1、2回では、大山さんがなぜ会社の制度がない中で、社費留学制度を作ってまで、中国MBAに行きたかったのか。第3回では、なぜ中国人エリートの働き方に興味をもったのか。第4回以降は、中国人同級生の取材を通してこれからの中国人エリートの働き方にせまります。

 

 

<第4話>エリートエンジニアがHuaweiを辞めてMBAに学ぶ理由

中国人同級生 LIAO Bin (英語名Liao):
1984年、広西チワン族自治区生まれ。華中科技大学にてオートメーションを専攻し、2007 年卒業、卒業後Huaweiにプロキュアメントエンジニアとして入社。サプライチェーンのマネジメントを一貫して担当する。3年間Huawei本社にて働いた後、ブラジルに異動。Huaweiのブラジル支社にて5年間勤務。趣味はサイクリング。

あのHuaweiで社内婚。学び続けるのがHuaweiメソッド

大山:Liaoは奥さんもHuaweiで働いていたんだよね?

Liao:妻は今も 東莞(トウカン)市にあるHuaweiの本社で、ある部署の人事系の仕事をしているよ。だからMBA期間中は別居生活だね。子供もいるけど共働きだから日中は妻の両親に3歳の子供の面倒を見てもらっているよ。MBA生活はタフだけど、なるべく1ヶ月に1回は帰るようにしているよ。

大山:奥さんとは職場で知り合ったの?

Liao:妻とはHuaweiの入社同期なんだ。入社初日のトレーニングで知り合ったんだ。トレーニングが終わって別々の部署に配属になったけどね。今の奥さんとも知り合えたしHuaweiには本当に感謝しているよ笑 それに、8年間Huaweiにいて働く姿勢や哲学はHuaweiから学んだことが多いよ。

大山:中国人は良く転職するイメージがあるから、8年間は長い方だよね?

Liao:長い方だね。Huaweiの平均勤続年数が大体6年くらいだったかな。

大山:Huaweiは先日、日本でも新卒採用の給与がマーケットの倍くらいということで話題になったよ。Liaoが思うHuaweiで働いた経験から、従業員にとってHuaweiの良いところと悪いところを教えてよ。

Liao:日本でHuaweiの新卒の給与が高いと話題になったことは知っているよ。今でもHuaweiのニュースはチェックしているからね。
一番良いところはもちろん給与だね。同じ業界の同じ仕事で、外資系の競合他社よりも約30%、中国企業よりも約50%程度はHuaweiの給与の方が高いと言われているよ。二番目は、Huaweiは決して学ぶことを辞めない会社だから、その姿勢を学べたことはとても大きいよ。Huaweiは全ての競合他社は徹底的に研究しているけど、例えば一時期、小米(シャオミ)がインターネットを通じて、顧客から様々な意見を吸い上げて、全ての意見に対応していることがニュースになったけど、Huaweiも顧客第一主義を掲げているから、すぐに実践したよ。そして本当に顧客のニーズがあれば、とても面倒な作業であるにも関わらず、すぐにプロセス変更をしてまで顧客の要望に応えようとするんだ。
更に、全然違う業界の成功企業の事例、例えば海底捞(中国で大成功している火鍋のチェーン店)のケースも徹底的に研究して、社員に共有している。この満足することなく、学び続ける姿勢はHuaweiから学んだね。後は昼休みが1時間半あったのは良かったな(笑)。Huaweiの従業員はみんな、30分ご飯を食べて残りの1時間は昼寝をしていた。そうすると午後スカッと仕事が出来るんだよ。昼休み中に電話が来たりすると、小さな声で周りの人を起こさないように、昼休みが終わったらもう一度連絡してくださいって言って対応していたいよ(笑)。
逆に良くない点としては、Huaweiは今や大企業だから、深センでは企業というよりは一つの街のような感じなんだ。だから良くも悪くも、Huawei内で全てが完結できてしまう。考え方や物事の見方が似ている人が多くて、Huawei式にこりかたまっちゃう可能性が高いと思う。いろいろな考え方を知りたいというのはMBAを目指した理由の一つだね。うちの場合は僕も妻もHuaweiで働いていたからとても考え方が偏ってしまっていると感じることがあったんだ。だからMBAでの日々はとても刺激的だよ、金融やコンサルがバックグラウンドの同級生とは全然考え方が違うからね。

ブラジル支社を5年経験後、MBAへ

大山:Huaweiの創業者ってどんな人?例えばアリババのジャック・マーに比べて、全然メディアに露出しないし、プレゼンとかも聞いたこと無い気がする。

Liao:Huaweiの創業者はジャック・マーとは全然違うタイプだよ。もう70歳は超えていると思う。メディアには全然出てこないけど、社内では伝説的なプレゼンをいくつも残していて、その噂が外部に漏れたりしているね。彼は70歳を超えているけどとても元気で、若くみえる。多分学ぶことをやめないからじゃないかな。学ぶことをやめなければ若さを保つことができる。

大山:そういえばHuaweiってLDP(Leadership Programの略。外資系企業は幹部育成のために、通常とは別の採用・育成ルートを持っているケースが多い)もないよね?どうやって幹部を育成しているの?

Liao:Huaweiの人材育成の考え方は、LDPを持っている企業とは異なって、とにかく成長の機会をたくさん従業員に与えて、そこでサバイブした人達を幹部として迎えるというもの。だから、有望な若手はすぐに別の国に、送りこまれてふるいにかけられるんだ。

大山:Liaoも5年間ブラジルにいたよね。有望な若手と認められていた証だね。その間奥さんはどうしていたの?

Liao:最初の2年間は単身赴任だったんだけど、奥さんも会社にお願いしてブラジルで働けるようにしてもらったんだ、だから最後の3年間は一緒に住んでいたよ。一緒に旅行もたくさんした。ブラジルはとても広大だから、まだ回れていない場所もたくさんあるんだけどね。ちなみにブラジルを希望したのは、若いうちに 英語以外の言語を習得したかったから。スペイン語、ポルトガル語はこれからとても重要になるだろうからね。

大山:これだけエリート街道まっしぐらで、Liaoはキャリアの上でミスをしたことってあるの?

Liao:もちろんあるよ。ブラジルにいた時に、部署は中国にいた時と同じく、サプライチェーン・マネジメントを担当していたのだけど、ブラジル支社のダイレクターから、その部署の業務とは全く異なる仕事のプロジェクトマネージャーを頼まれたんだ。ダイレクターからのお願いだったから断れなかったのだけど、とても忙しく、重要なプロジェクトで本業の方に時間があまり取れず、当時の部署の上司はそのことをよく思わなかった。だからその年の評価がとても悪くなってしまった。その後、ダイレクターが僕に社内で自分の現状や、なぜ今本業に集中できないかを説明する機会を設けてくれたんだけど、そこで僕は上手く皆に説明することができなかった。そこで気がついたんだ、僕はソフトスキルが欠如しているって。だからMBAに行くことにしたんだ。もしプレゼンが上手くいって、トントン拍子で出世していたらここにはいないかもしれないね(笑)。

両親は反対、妻は賛成したMBA進学

大山:数あるMBAスクールの中でCEIBSを選んだ理由は?

Liao:当時はブラジルに5年間住んでいたから、そろそろ中国に帰りたくなっていたんだ。北京は大気汚染が酷いし、香港は熱すぎるから選択肢から外して、上海を選んだんだ。上海だったらCEIBS以外他に選択肢はないからね。

大山:奥さんや家族の反応はどうだった?

Liao:両親は、信じられないという反応だったよ。とても良い給料で安定した会社をなぜ辞めるのかと。両親の世代は、恐らく日本と同じで、一つの会社にずっと長く勤めることが美徳とされていた時代を生きてきたからね。しかしながら僕達の世代は、やりたいことや、家族の状態に合わせて転職することは普通のこと。両親には、Huaweiは今は調子が良いし、僕が入社した当時と比較しても売上が8倍位になっているけど、いつ調子が悪くなるか分からない。日本の家電メーカーのようにね。そうなると35、40歳以上のスキルの割に、給料の高い従業員からクビになる可能性が高い。だから、妻も僕も同じ会社で働いているということはとてもリスキーなんだ。そんな話を両親にはしたよ。納得はされなかったかもしれないけど、僕らはもう自分の人生を自分で決断できる歳だよ(笑)。
妻とはとても長い時間相談していたけど、基本的に僕の決断を応援してくれているよ。実は2015年の夏にHuaweiを離れているから、MBA卒業まで3年間僕は無収入の状態になる。これは大変なことだけど、妻は僕の決断を応援してくれている。本当に感謝しているよ。

夫婦で「Enough」の価値観を共有したい

大山:素晴らしいね。Liaoにとって、理想の家族像、夫婦像ってどんなもの?

Liao:理想の家族は、家族みんなで一緒にいること。やっぱり、お父さんが別のところにいるのは子供にとって良くないことだと思う。理想の夫婦は、お互い支え合って、また互いに違うものの見方だけど、お互い勉強して、例えば夜ご飯の時とかに、意見を出し合ったりして、意見は違うけどお互い高め合える夫婦。だから妻には専業主婦にはなってほしくはないけど、Huaweiが好きだったらずっとHuaweiで働いてもらっても構わないし、違う会社に移りたかったら移っても構わない。好きな場所で仕事をしてほしい。後は「Enough(もう十分)」を理解している夫婦になりたいな。

大山:「Enough」を互いに理解するってどういう意味?

Liao:中国では、基本的に共働きが普通で、その主たる理由は、住居費をはじめとした生活費を賄うために、共働きせざるを得ないということだけど、もう一つは、中国人はメンツを気にして、他の人と比べることを好むんだ。だから、1千万円稼いだら、5千万円稼いでる人、5千万円稼いだら1億円稼いでる人と比較して、更に上を目指す。だけど、もうこれで十分っていうラインをお互いが分かっていれば、他人と比較することもないし、幸せになれると思うんだ。

大山:なるほどね。CEIBSにいると特に成績に関しては中国人の方が敏感だもんね。子供の教育に関してはどう?
多くの同級生の悩みとして、インターナショナルな教育を受けさせるか、中国の教育を受けさせるか悩んでいる人が多いと思うけど。一度インターナショナルな教育を受けさせたら、現実的には中国式の教育には戻れない=中国の良い大学には行けないからっていうのが主たる原因だけど、Liaoはどういう意見?

Liao:僕は子供には中国式の教育を受けさせようと考えている。これからどんどん良くなっていくと思うからね。だけど、子供には小さいうちに数年間、海外で経験を積ませてあげたい。次の職場で転勤で海外に行くチャンスがあって、そこで子供と数年間海外で過ごせたら最高だね。

将来は起業、PhDもとりたい

大山:なるほどね。最後にLiaoの今後のキャリアプランについて聞かせてよ。

Liao:これから先自分の考え方がどう変わっていくかわからないから不確実だけど、MBA卒業後は就職しようと思っている。できたら、東莞や深センの近くで働いて、そこで家も買えたらいいね。次の就職先でいろいろと新しい考え方も学ぶと思うけど、ゆくゆくは起業するつもりだよ。現時点では教育関連での起業を考えているけど、例えば、学校のコンサルティングプロジェクトでブロックチェーンについて学んで、その延長線上で自分で作ったビジネスプランを投資家に説明したら、興味を持った投資家が複数人いた。彼らはブロックチェーンについて何も知らないのだけどね(笑)。しっかりした事業プランがあれば、特にホットなトピックであればなおさら、今の中国でお金を集めることはそこまで難しくないと思っている。だからどの分野になるかはわからないけど、自分でビジネスをそのうち始めるつもりだよ。それに、学ぶことも絶対に死ぬまでやめないよ。中国国内で、パートタイムで何年かかるかわからないけどPhDもとりたいと思っている。

大山:学ぶことをやめないHuaweiイズムが染みついているね(笑)。


<第3話>上海は猛スピードで変化し、女性が活躍する街

<プロフィール>

1986年東京生まれ。私立武蔵高校、早稲田大学理工学部卒。大学在学中は体育会ラクロス部に所属。 2010年株式会社商船三井入社。関連会社出向、本社経営企画部を経て2016年8月より、上海にあるChina Europe International Business School (CEIBS)に現在会社からの派遣でMBA留学中。

ブログ: CEIBS MBA日記 (http://ceibs2018.hatenablog.com)

<紹介文>

第1、2回では、大山さんがなぜ会社の制度がない中で、社費留学制度を作ってまで、中国MBAに行きたかったのか。第3回では、なぜ中国人エリートの働き方に興味をもったのか。第4回以降は、中国人同級生の取材を通してこれからの中国人エリートの働き方にせまります。

 

 

<第3話>上海は猛スピードで変化し、女性が活躍する街

スマホ決済が見る間に浸透

実際に夢がかない、2016年8月にCEIBSでの留学 がスタートしました。CEIBSでの生活は予想通り大変ハードなものですが、徐々に環境にも慣れてきました。

1年弱経った今、CEIBSはもちろんのこと、上海、中国が大好きになりました。それは日本では知ることが出来ない中国を知ることができたからですが、こちらにきてとても驚いたことを2点紹介したいと思います。

ひとつ目は、日本よりも遥かに進んでいるIT産業と、それを原動力にどんどん変化していく都市と中国人の生活習慣です。いくつか例を紹介します。私がCEIBSに入学した当時は、まだ少し電子マネーが使えなかったお店がありましたが、今どんなに小さなお店でも、屋台でさえも電子マネーが使えます。今私は中国で生活している間は、財布を持つことをやめました。逆にあまりに現金を使わないので、財布をその日持ってきたかどうか忘れてしまい、不安になることが増えてきたからです。それでいっそ財布を持つのをやめたのですが、私だけでなく、多くの中国人がもう財布を持たずにスマホだけで生活しています。また、入学した当時はまだ流行していなかったMobikeを中心とした自転車共有サービスを今では使わない日はありません。完全に中国人の生活の一部となっており、この1年程の間に街の風景がガラッと変わりました。更に外卖(Waimai)でいつでも数時間以内に美味しいご飯を自宅まで届けてもらえ、滴滴(Didi)を使えば、待ち時間なく、遠回りされることなく、安価でタクシーのサービスが受けられます。中国の発達したITサービスを使って、日本にいた時に比べて自分の時間を削ること無く、安価でハイクオリティのサービスを受けられていると感じます。

女性のクラスメートが生き生きしている

そしてもうひとつ中国に来て驚いたことは、中国における女性の活躍です。これはCEIBSに来て気づきました。CEIBSに来てすぐに気がついたことが、女性の同級生達がとても生き生きとしているということ、また「女性だから」といって夢を諦めることが100%ないことです。これが今回CEIBSの同級生達を取材しようと思ったきっかけです。CEIBSの女子学生比率は45%程ですが、中国人だけに限ってみればほぼ50%です。CEIBSのアドミッション・オフィスも中国人を増やすとその分女子学生が増えると言っていました。彼女達は、出産や結婚等によってキャリアを諦めるということはありません。

また、200人近い同級生達の中には妊婦さんも常に何人かいます。とても忙しかった最初のタームが終わる最終日のことです。試験を受けるため教室に座っていると、横に座った女子学生が妊娠していたのですが、あまりにお腹が大きいので、いつ出産予定なのかと訪ねました。すると「来週出産予定で明日から入院する、1ヶ月だけ休んでそれ以上休むと休学扱いになって1年キャリアが遅れるので、すぐに学校に復帰する」と言うので大変驚きました。
彼女はとても忙しいMBAの最初の半年間、妊娠中の身体にもかかわらず、深夜までのディスカッション、プレゼンの準備、ケースの予習等、まるっきり健康体の私でもしんどい生活を乗り越えてきたのです、全ては自分の夢の実現のために。
(彼女は子供への投資が加熱する中国国内で、教育ビジネスで成功したいと考えています、後日インタビュー談記載)。

また、寮の隣に妊娠している同級生が住んでいることもありました。その時は同級生のお腹が大きくなるに連れて緊張していったのを覚えています。CEIBSでは最初の半年がとても忙しく、深夜までディスカッションや課題に追われるため、多くの学生が寮に入ります。子供がいる学生は、平日は寮に住み、子供は自分の実家に預けるか、両親に自分の家に来てもらって子供の面倒をみてもらい、週末に時間ができたら子供達に会いにいくような生活をしている人が多いです。そういった学生達が平日グループで課題をやっている最中などに、両親から送られてくる自分の子供の動画をみて微笑んでいる姿はとても印象的です。

同級生と接するうちに自分の知っている男女平等とか、ワークライフバランスといったものが、日本固有のもの、また自分の経験に基づいた偏ったものであることに気付きました。

(写真:↑子供をもつ同級生達)

中国の女性就業率はアメリカより高い

そもそも 中国政府は男女平等に働くことを政策に掲げており、中国では女性の就業率はBRICsや主要先進国に比べて高く、世界銀行のデータによれば、中国人女性の就業率は大体65%程度です(シンガポール58%、アメリカ56%、日本48% Source:世界銀行(2014年))。
(15歳以上の女性のうち、働いている女性の比率。母数から労働能力を喪失した女性の数を除いていない)

今の私の夢は少しでも多くの日本人が中国を好きになり、少しでも多くの中国人が日本を好きになることです。そのために多種多様なリアルな中国の情報は自分のブログで報告していくとして、Billion Beatsではターゲットを結婚している中国人同級生に絞り、深く取材していくことで、彼らの考えるこれからの働き方、家族のあり方を学んでいこうと思います。

それは同世代の若い中国人エリート夫婦の価値観や、 二人ともキャリアを諦めることなく、互いにサポートしながら夢を掴もうとしている姿から、私達日本人も学べることがたくさんあるんじゃないかと思ったからです。

CEIBSの同級生達は働くことに対してどのような価値観をもっているのか、次回以降同級生のインタビューを通じて問いかけていきたいと思います。


<第2話> 社費留学制度を作る

<プロフィール>

1986年東京生まれ。私立武蔵高校、早稲田大学理工学部卒。大学在学中は体育会ラクロス部に所属。 2010年株式会社商船三井入社。関連会社出向、本社経営企画部を経て2016年8月より、上海にあるChina Europe International Business School (CEIBS)に現在会社からの派遣でMBA留学中。

ブログ: CEIBS MBA日記 (http://ceibs2018.hatenablog.com)

<紹介文>

第1、2回では、大山さんがなぜ会社の制度がない中で、社費留学制度を作ってまで、中国MBAに行きたかったのか。第3回では、なぜ中国人エリートの働き方に興味をもったのか。第4回以降は、中国人同級生の取材を通してこれからの中国人エリートの働き方にせまります。

 

 

<第2話>社費留学制度を作る

めざすは「中国で、MBA」

中国のみならず、MBAに興味を持った私は、MBA、特に海外のMBAとはどういった教育なのかを調べ始めます。驚いたことに海外にMBAを取得しに行く日本人は毎年たったの200人程度。そのため巷に出回っているMBAに関する情報は、基本的に日本国内のMBAの情報で、ましてやアジア、中国のMBAの情報はほぼ皆無でした。そこで、海外旅行で行く国にMBAスクールがあれば、必ず寄るようにして、実際に自分の身体で生の情報を吸収していくことにしました。ちなみに海外旅行の際にその地にあるMBAスクールを訪問するのは個人的にはかなりおすすめです。海外MBAスクールに通う日本人は少ないため、どこのMBAスクールも日本人を歓迎してくれます。私も多くの学校をビジットしましたが、その際にたくさんの日本人留学生の方によくしていただきました。そして何より異国の地でサバイブしている日本人留学生達の話は刺激的で、 学ぶことが多いです。

結果的に中国語を学んで、中国について勉強していく中で、MBAにも興味を持ち、今度はMBAについて調べると、 アジアNo.1、世界でも認められていて且つ上海にあるMBAスクールのCEIBSへの思いが強くなるのは自然な流れでした。

社費留学の交渉を始めた

そして忘れもしない2015年3月上旬のある日を境に、私の生活は激変しました。それは会社にMBAの社費留学制度がなかったため、MBA留学をしたいと直談判し、交渉し始めたからです。行動を起こすにあたっては、当然ながらとても綿密に準備をし、何度跳ね返されても絶対に諦めないと強い覚悟をもっていましたが、親を含めて親しい人 からも「130年以上歴史のある会社が、入社5、6年目の若造の提案で、簡単にいくわけがない」と否定的なコメントをもらうことが多かったです。しかしながら、 私は諦めなければ絶対に最後は会社が認めてくれると信じていました。それはCEIBSのカリキュラム、集まる人材、ビジョンを知れば知るほど、そこで揉まれて成長できれば、会社を良い方向に向ける、変革させることができる人材になれると思ったからです。つまり会社のその当時の研修の目的と合致しており、且つそれを上回る提案 だと信じていたからです。

また交渉開始とともに、MBA受験の準備を開始しました。会社が仮に認めてくれても、受験に受からなければ話になりません。 MBAのトップスクールに行くには大変な準備が必要です。しかし私自身は大学時代も体育会の活動ばかりしていたため留学経験もなく、海外経験は海外旅行程度で英語は苦手でした。しかし私には10ヶ月程しか残されておらず、 MBA受験を決意したその日、その足で向かった某大手MBA専門の塾のカウンセラーからは、CEIBSは難しいので、別のMBAスクールをターゲットとするように言われました。

体重激減。ついに合格

(写真:同級生達との集合写真)

しかしながらカウンセラーのアドバイスは無視して、CEIBSをターゲットに 受験勉強を開始しました。はじめからCEIBS以外に 行く気はなかったからです。MBA受験ではTOEFL、GMATが必要ですが、そのような試験で海外経験豊富な他の受験生達を上回るような点数を取ることは難しいと早々に諦め 、足切りにならないような最低点の点数を取れたら、すぐに面接対策に切り替えて、面接で挽回する作戦をとりました 。また、CEIBSのアドミッション・オフィスが来日したり、CEIBSのキャンパスビジットをした際は、自分で作ったパワーポイントを用いて、アドミッションの人達に必死に自分のアピールをしました。

受験勉強中は、仕事が終わってから終電まで会社近くの自習室で勉強、自宅に帰ってスカイプ英会話をして就寝、朝5時にまたスカイプ英会話をこなして、朝6時半からやっている会社近くのスタバで出社までの間勉強というリズムで勉強しました。英会話をその時間に入れていたのは、英会話だったらどんなに眠くてもできるだろうと思ったからです。

受験勉強の不規則な生活と、もし会社から認められなかったらどうしようというプレッシャーから体重は激減しましたが、夢に向かって進んでいる実感を毎日感じていたため、辛いと感じたことはありませんでした。そして無事秋頃に会社から正式にサポートが受けられることがわかり、また、綱渡り的なMBA受験も最終的には無事に上手く行きました。
サポートしてくれた上司達に、無事面接が全て終わったことを報告するため食事している最中に、CEIBSにから合格の報告を受け取ったことはひとつのハイライトです。

今思えばこんな無茶苦茶な私を信じて送り出してくれた会社には、本当に感謝しかありません。送り出してくれた方々のことを毎日思い出し、必ずこの留学を成功させると強い意志を持って一日一日大切に過ごしています。

(写真:↑特に最初の半年はハード。休み時間に死体のように転がる同級生達)


<第1話> 僕はどうしても「CEIBS」に行きたかった

<プロフィール>

1986年東京生まれ。私立武蔵高校、早稲田大学理工学部卒。大学在学中は体育会ラクロス部に所属。 2010年株式会社商船三井入社。関連会社出向、本社経営企画部を経て2016年8月より、上海にあるChina Europe International Business School (CEIBS)に現在会社からの派遣でMBA留学中。

ブログ: CEIBS MBA日記 (http://ceibs2018.hatenablog.com)

<紹介文>

第1、2回では、大山さんがなぜ会社の制度がない中で、社費留学制度を作ってまで、中国MBAに行きたかったのか。第3回では、なぜ中国人エリートの働き方に興味をもったのか。第4回以降は、中国人同級生の取材を通してこれからの中国人エリートの働き方にせまります。

 

 

<第1話>僕はどうしても「CEIBS」に行きたかった

なんとなく、中国を遠ざけていた

多くの日本の会社が中国の経済成長の恩恵を受け大きな利益を挙げたにもかかわらず、また中国と日本は隣国で歴史的にも大変深い関わりがあるにもかかわらず、 更に実際に中国本土に行ったことがない人がほとんどであるにもかかわらず、多くの人が中国に対してネガティブなイメージを持っていることに、漠然とした疑問をずっと持っていました。

会社に入ると、多くのビジネスが中国とリンクし、中国を無視することなどできず、より中国の存在感を感じるようになりました。

こんなに存在感があるのに、一方でマスコミに植え付けられたイメージのためになんとなく中国を若干敬遠してしまっている自分に気づき、「イメージだけで何となく避けていることで、大変貴重な機会を逸しているのでは」と思うようになり、「一度しっかりと中国に向き合って、先入観なく中国を見つめてみよう。生の中国を知って、それでも日本の多くのマスメディアが報道しているような中国で、あまり好きになれなければ今後近づかなければいいけど、できることならどうせこれから少なくともビジネスでは一生つき合っていくんだし、好きになった方がいいに決まっている」と思い、短絡的な私は、「よし、そのために中国語をマスターしよう」と思い中国語の勉強を開始しました。

世界ランキングトップMBAが上海にあった

中国語の勉強を進めていくと、今まで以上に中国の情報に敏感になります。また能動的に自分からインターネットで中国に関する情報を調べるようになりました。特に、日本では報道されていない、IT産業を中心とした中国の方が日本に比べて遥かに進んでいる分野に興味を持つようになりました。興味深いことにそのような、日本人にとってあまりおもしろくない情報は日本語ではほとんど書かれておらず、英語か中国語の情報に限られます。

そんな中、たまたま目にしたFinancial Times の大学のランキング記事で、全世界のMBAのランキングの記事を目にします。その中に日本の学校は一つも入っていませんでしたが、中国の学校が複数入っていることに驚きました。特に、欧米の名門校を押しのけて、トップ20位(当時17位、現在は11位)にランクインしているChina Europe International Business School(CEIBS)という学校が目につきました。

(写真:憧れのCEIBSのキャンパスとロゴ)

中国といえば、北京大学や清華大学といった超名門の総合大学は知っていましたが、CEIBSという名前はその時初めて目にしました。恥ずかしながら最初は今までの人生で一度も聞いたこともないし「胡散臭い学校」と思っていましたが、中国語を学ぶにあたって先入観をなくすことを心がけていたので、とりあえず調べてみると、驚いたことに設立されて20年そこそこしか経っていないに、設立後10年でFinancial Timesのランキングトップ10 入り、以降もずっと世界のランキングで20位以内をキープしている、世界的なMBAスクールということを知ります。今度は中国語で検索してみると、アリババやテンセントをはじめとした中国の大企業の幹部を多数排出している、アジアNo.1のものすごいMBAスクールということを知るのです。こんな情報は今まで誰も教えてくれなかったし、中国語を勉強して中国に興味を持たなければたどり着かないものです。CEIBSに興味を持った私は、そこで初めて「MBA」を意識することになります。

ここでCEIBSを簡単に紹介します。CEIBSは1994年に中国政府とEUが合同で非営利の教育機関として設立したMBAスクールです。当時、中国政府は企業の経営層、及びシニアのマネージャー層の質が欧米に比べ劣っていることを感じていました。そこで、リーダーシップとアントレプレナーシップを持って組織をマネージメントできる、主にシニアのマネージャーを多く 輩出することで中国企業の競争力を高めようと、中国から世界レベルのMBAスクールをつくるべくCEIBSが設立されました。その後、的確な学校運営と中国の急速な発展をバックに世界中から優秀な教授や学生を集めた結果、1994年の開校より10年あまりで、フィナンシャル・タイムズの世界MBAランキングのトップ10入りを果たします。今年のランキングは世界11位、アジアでは1位。フィナンシャル・タイムズのみならず、ForbesやNewsWeek等からもアジアNo.1のビジネススクールとして評価されています。学生の比率としては60%が中国人で、40%が外国人。女性の比率は45ほどです。

(写真:キャンパスではTED等のイベントも頻繁におこなわれる)

ここまでが外形的なCEIBSの説明ですが、私が個人的に感じている他のMBAスクールにはないCEIBSの大きな特徴は、「野心的」であるということです。これはCEIBSのキャンパスを初めて訪れた際に感じました。ランキングの上がり具合や、次のハーバードになるという壮大な目標を掲げているCEIBSは、 野心的です。アドミッション・オフィスもそれを隠そうとせず、学校の説明の際はどんどんビジョンを語ってきます。私は受験の際に多くの学校を実際に訪れキャンパスビジットしましたが、ここまで学校としての勢いを感じたのはCEIBSだけでした。学校のみならず。 発展する中国経済でチャンスを掴もうと世界中から集まってきた学生も野心的です。そんな学生達のディマンドを満たすべく、CEIBSのカリキュラムはハードに設計されています。