<第3話>上海は猛スピードで変化し、女性が活躍する街

<プロフィール>

1986年東京生まれ。私立武蔵高校、早稲田大学理工学部卒。大学在学中は体育会ラクロス部に所属。 2010年株式会社商船三井入社。関連会社出向、本社経営企画部を経て2016年8月より、上海にあるChina Europe International Business School (CEIBS)に現在会社からの派遣でMBA留学中。

ブログ: CEIBS MBA日記 (http://ceibs2018.hatenablog.com)

<紹介文>

第1、2回では、大山さんがなぜ会社の制度がない中で、社費留学制度を作ってまで、中国MBAに行きたかったのか。第3回では、なぜ中国人エリートの働き方に興味をもったのか。第4回以降は、中国人同級生の取材を通してこれからの中国人エリートの働き方にせまります。

 

 

<第3話>上海は猛スピードで変化し、女性が活躍する街

スマホ決済が見る間に浸透

実際に夢がかない、2016年8月にCEIBSでの留学 がスタートしました。CEIBSでの生活は予想通り大変ハードなものですが、徐々に環境にも慣れてきました。

1年弱経った今、CEIBSはもちろんのこと、上海、中国が大好きになりました。それは日本では知ることが出来ない中国を知ることができたからですが、こちらにきてとても驚いたことを2点紹介したいと思います。

ひとつ目は、日本よりも遥かに進んでいるIT産業と、それを原動力にどんどん変化していく都市と中国人の生活習慣です。いくつか例を紹介します。私がCEIBSに入学した当時は、まだ少し電子マネーが使えなかったお店がありましたが、今どんなに小さなお店でも、屋台でさえも電子マネーが使えます。今私は中国で生活している間は、財布を持つことをやめました。逆にあまりに現金を使わないので、財布をその日持ってきたかどうか忘れてしまい、不安になることが増えてきたからです。それでいっそ財布を持つのをやめたのですが、私だけでなく、多くの中国人がもう財布を持たずにスマホだけで生活しています。また、入学した当時はまだ流行していなかったMobikeを中心とした自転車共有サービスを今では使わない日はありません。完全に中国人の生活の一部となっており、この1年程の間に街の風景がガラッと変わりました。更に外卖(Waimai)でいつでも数時間以内に美味しいご飯を自宅まで届けてもらえ、滴滴(Didi)を使えば、待ち時間なく、遠回りされることなく、安価でタクシーのサービスが受けられます。中国の発達したITサービスを使って、日本にいた時に比べて自分の時間を削ること無く、安価でハイクオリティのサービスを受けられていると感じます。

女性のクラスメートが生き生きしている

そしてもうひとつ中国に来て驚いたことは、中国における女性の活躍です。これはCEIBSに来て気づきました。CEIBSに来てすぐに気がついたことが、女性の同級生達がとても生き生きとしているということ、また「女性だから」といって夢を諦めることが100%ないことです。これが今回CEIBSの同級生達を取材しようと思ったきっかけです。CEIBSの女子学生比率は45%程ですが、中国人だけに限ってみればほぼ50%です。CEIBSのアドミッション・オフィスも中国人を増やすとその分女子学生が増えると言っていました。彼女達は、出産や結婚等によってキャリアを諦めるということはありません。

また、200人近い同級生達の中には妊婦さんも常に何人かいます。とても忙しかった最初のタームが終わる最終日のことです。試験を受けるため教室に座っていると、横に座った女子学生が妊娠していたのですが、あまりにお腹が大きいので、いつ出産予定なのかと訪ねました。すると「来週出産予定で明日から入院する、1ヶ月だけ休んでそれ以上休むと休学扱いになって1年キャリアが遅れるので、すぐに学校に復帰する」と言うので大変驚きました。
彼女はとても忙しいMBAの最初の半年間、妊娠中の身体にもかかわらず、深夜までのディスカッション、プレゼンの準備、ケースの予習等、まるっきり健康体の私でもしんどい生活を乗り越えてきたのです、全ては自分の夢の実現のために。
(彼女は子供への投資が加熱する中国国内で、教育ビジネスで成功したいと考えています、後日インタビュー談記載)。

また、寮の隣に妊娠している同級生が住んでいることもありました。その時は同級生のお腹が大きくなるに連れて緊張していったのを覚えています。CEIBSでは最初の半年がとても忙しく、深夜までディスカッションや課題に追われるため、多くの学生が寮に入ります。子供がいる学生は、平日は寮に住み、子供は自分の実家に預けるか、両親に自分の家に来てもらって子供の面倒をみてもらい、週末に時間ができたら子供達に会いにいくような生活をしている人が多いです。そういった学生達が平日グループで課題をやっている最中などに、両親から送られてくる自分の子供の動画をみて微笑んでいる姿はとても印象的です。

同級生と接するうちに自分の知っている男女平等とか、ワークライフバランスといったものが、日本固有のもの、また自分の経験に基づいた偏ったものであることに気付きました。

(写真:↑子供をもつ同級生達)

中国の女性就業率はアメリカより高い

そもそも 中国政府は男女平等に働くことを政策に掲げており、中国では女性の就業率はBRICsや主要先進国に比べて高く、世界銀行のデータによれば、中国人女性の就業率は大体65%程度です(シンガポール58%、アメリカ56%、日本48% Source:世界銀行(2014年))。
(15歳以上の女性のうち、働いている女性の比率。母数から労働能力を喪失した女性の数を除いていない)

今の私の夢は少しでも多くの日本人が中国を好きになり、少しでも多くの中国人が日本を好きになることです。そのために多種多様なリアルな中国の情報は自分のブログで報告していくとして、Billion Beatsではターゲットを結婚している中国人同級生に絞り、深く取材していくことで、彼らの考えるこれからの働き方、家族のあり方を学んでいこうと思います。

それは同世代の若い中国人エリート夫婦の価値観や、 二人ともキャリアを諦めることなく、互いにサポートしながら夢を掴もうとしている姿から、私達日本人も学べることがたくさんあるんじゃないかと思ったからです。

CEIBSの同級生達は働くことに対してどのような価値観をもっているのか、次回以降同級生のインタビューを通じて問いかけていきたいと思います。


Hirotaka Oyama

投稿者について

Hirotaka Oyama: <プロフィール> 1986年東京生まれ。私立武蔵高校、早稲田大学理工学部卒。大学在学中は体育会ラクロス部に所属。 2010年株式会社商船三井入社。関連会社出向、本社経営企画部を経て2016年8月より、上海にあるChina Europe International Business School (CEIBS)に現在会社からの派遣でMBA留学中。 ブログ: CEIBS MBA日記