第5回 ネットで知った中国のスピード

2016年8月26日 / Tokyo Panda



(写真)ハット75元 / カーディガン180元 /ワンピース260元 / 靴350元 / バッグ250元 / 北京五輪の会場でもあったマスターカードセンターにて / 先日ここではTGC北京が行われた


 もともと大好きだったファッションを中国の人たちとシェアする——。
 BBSサイトを見つけるまでは、こんなことは夢にも見ていなかった。しかも、中国全土のあらゆる地域の人たちとシェアができる、インターネットという世界。このインターネットの世界に自分が足を踏み入れるなんて思ってなかった。まして、ここで出会ってリアル友達になるなんて、考えもしなかった。虚偽情報が溢れているネット社会の中で、日本人の私をずっと応援してくれる中国人のみんなの存在が支えとなるのに、そう時間はかからなかった。リアル友達になった子たちには、生活面でも助けてもらうことにもなった。

 実際、ブログを通じて知り合ったタオバオにも出店している店主や中国人人気ブロガーの子たちとも、直接会ったり、頻繁に連絡をとる仲にもなった。

 私はよく上海にいくのだが、タオバオで知り合う人たちは上海に住んでいる人たちが多い。ネット上でだけだったら、お互いどんな人物なのかわからないのだが、実際に会うようになればネットで知り合ったという感じもしない。話す内容だって、自分の経歴や職歴など、ネット上でする話とは違う。ネット上では衣服のコーディネートの話とかスキンケア方法など互いの共通の興味のみしか話さないが、現実に会えば人生の話、恋の話、仕事の話が主になる。そして何よりも中国ではコネクションがいちばんだと感じる。実際に会えば、自分の知人を紹介したり、次に会ったときには……などと、次に続く話が出てくるのも現実の友達となったからだと思う。

人と人がつながっていくのに国籍のカベはない。「大切なのはリアル」を教えてくれたー

「上海人は外国人に対してとてもオープンで、新しいものを受け入れる能力がある」
 生粋の上海人の友達がそう言っていた。だから日本人である私が国も越えて、虚偽の世界といわれる世界も超えて、彼女たちのリアル友達として馴染んでいけるのではないかと思う。女子はあっというまにつながりを持ち、仲よくなれる。やはり趣味が共通であればそれは中国であろうと日本であろうとさほど差がないように思える。かわいい洋服をきて、「かわいい~」と友達にほめられるのが大好きなのだ。私自身ももちろんそうだし、だからこそファッションの情報をシェアすることにやりがいを見つけてしまったのでないかと思う。

 医学部生だけだったときは、月曜日から金曜日までほぼオシャレをすることなく過ごしていて、共通の趣味を持つ女子を見つけることなんて到底できなかった。オシャレをすること自体をあきらめていたのだ。中国の医学部、特に修士までとる学生は小さいときからいい大学に入るために必死に勉強してきた子たちで、おしゃれを楽しむ暇などなかったのではないだろうか? だから私も誰とショッピング情報をシェアすることもできず、欲求不満になっていたのだと思う。普段クラスメートとする会話といえば、日本のドラマかもしくは芸能人。今でこそ共同購入が流行っているのでネットの話題も増えてきたが、私が授業を受けているときは、まだそこまでクラスメートと一緒に何か……というふうになれるほどの共通の趣味を見出すことができずにいた。

 そんなとき、同じ日本からの留学生でおしゃれ好き女子とおしゃべりしていて、ふと疑問に思ったことがあったのだ。中国国内に私たちと同じだけのオシャレ知識を持つ女子がいるのかということである。完全に井の中の蛙ちゃんだった私たちは、そんな女子たちはいないと思っていたのだ。苦笑
 今思うと本当に恥ずかしくてありえないことだが、そのときは、中国という国のスピードも中国人についても全然知らなかったのだと思う。インターネットという社会を通して私は中国の、そして中国人の様子を垣間見ることができた。今後、ますますインターネット社会が普及する中で、きっとより多くの人たちと出会い、交流し、「今の中国とは何か?」を知るのだと思う。
 人と人がつながっていく、それはどこであってもやはり同じで、そういう想いとリアルな世界の人間関係を大切にするべきだということを、中国で出会ったネット友達たちに教えられているような気がしている今日この頃。
 だからネットは止められない。 笑



Tokyo Panda

投稿者について

Tokyo Panda: 医学部実習生 ファッションブロガー   東京都出身、瀋陽市在住。 2010年中国で医科大学を卒業し、現在は実習生として活動する傍ら、自身のファッション・生活スタイルをブログで紹介し、中国全土で多くの女性ファンを集める。 日本でもその活動・影響力が注目され、若者文化を通じた「日中親善大使」を目標とし、今後の活動が注目される。