「あの女の子の友達と昔付き合ったことがある」などと、武勇伝を色々聞かされたものだ。
真面目なGさんは、F君が変わることを期待して付き合うことを承知したのだが、やはり彼は変わらなかった。そのため、破局に至ったというわけだ。絶対にうまくいくと思い込んでいたF君は非常に落ち込んだが、これも一つの人生勉強だろう。
もちろん、ロマンだけではうまくいかないのが恋愛だ。Hさんは大学院生の女性で、アメリカ人と国際恋愛をしていたが、つい最近彼に振られてしまった。彼女はあの手この手でよりを戻そうと試みたがうまく行かず、追いかければ追いかけるほど相手が引くという悪循環に陥っていた。そこで私は、彼女にこういって慰めたものだ。
「アメリカ人の彼はもう諦めて、新しい恋愛を始めたほうがいいよ。中国には13億人も人がいるじゃないか」
しかし彼女のお眼鏡にかなう男性はそうはいない。大学院まで来る女性は、それまで大変な競争を勝ち抜いてきたわけで、少なくとも大学を出ていない男性は相手にしない。また、「都市部」出身か「農村」出身かも、中国では非常に大きな要素だ。たとえ優秀でも貧しい農村から出てきた苦労人よりは、少々ボンクラでも「都市部」のお金持ちの息子のほうが、ずっと輝いて見えるらしい。さらに大事なのは家柄。「共産党の幹部」や「企業の重役」の息子たちは「官二代」「富二代」といって重宝される。かいつまんで言うと、日本よりずっと「現実的」なのだ。
また、よく言われることだが、一人っ子政策の中国では、子供は基本的に「お殿様」「お姫様」なので、非常にわがままに育ってしまうケースも多い。相手の立場にたって考えることを、中国では「换位思考」というが、大学生ですら、それができないことがままある。自己中心的な者同士が付き合っても、やはりなかなかうまくはいかないだろう。
「愛があれば関係ない」。口で言うことは簡単だが、実践することは難しい。特に中国は、日本どころではない壮絶な格差社会だ。様々な現実的な要素が「愛」より優先する社会、お金持ちが何人も愛人を抱える社会、そんな歪んだ社会の中で、真実の愛に辿り着くことは決して簡単なことではないだろう。そんな中でも、私は多くの学生が真実の愛を求めて奮闘する姿を目撃してきた。決して甘くはない青春だけど、簡単に諦めることだけはしてほしくない。なぜなら、青春は二度とは来ないのだから。
Noriaki Tomisaka: 1976年8月27日福井県生まれ(辰年、乙女座、B型) 1994年 京都大学法学部入学 1999年 テレビ朝日入社 朝のワイドショー(「スーパーモーニング」)夕方ニュース(「スーパーJチャンネル」)などのAD・ディレクターを担当 2007年〜 経済部にて記者職を担当 農林水産省、東京証券取引所、財務省などを取材 2011年9月〜 北京・中国伝媒大学にて留学生活を開始(〜2012年夏まで)