ほのぼの台湾通信記 第15回

2016年12月31日 / 台湾留学ほのぼの通信



(写真:台湾大学メインストリート、1年間、大変なことも楽しいこともたくさんあったけれど、どれも忘れられない大切な思い出です。本当にお世話になりました。)




第15回「台湾と“中国”」

約半年間、心がほっこりした瞬間や台湾人の温かさなど、台湾の良い所・台湾留学の魅力について記事を書かせていただきました。少し寂しいですが、そんな「台湾ほのぼの通信」も今回が最終回となりました。
中国での題材を主とするBillion Beatsさんに記事を書かせてもらっているからには、最後は“台湾と中国”について、少し真面目に自分の考えを述べて、ビシッと締めくくりたいと思います。

北東アジア学生会議の代表を務めていた際、“中国”と“台湾”の表記と扱いに常に細心の注意を払っていました。地理的な背景を踏まえ、会議に参加する日本・ロシア・韓国・モンゴル・中国・台湾を「6か国地域」と表記し、台湾を一つの地域扱いにすること、また中国を「大陸中国」と表記することが、団体運営の重要なきまり事になっていたのです。その理由は、中国代表へのメールの中で台湾を「一国」として数えたことが、彼を激怒させてしまったことがあったからでした。
けれど台湾人代表と打ち合わせをする中で、そんな中国人参加者を配慮した表記が、台湾人参加者を傷つけていることに、彼に言われた言葉で気が付かされました。「“6か国地域”という表記は、台湾が仲間はずれにされているように感じる。けれど台湾は国ではないから自分は何も言えない。」と。

台湾と中国の関係については、彼等の間だけでなく、専門家の間でも様々な意見があります。けれど多くの中国人にとって、台湾は自国の大切な一部。日本でいう北海道や九州のようなものでしょうか。
一方、台湾人にとって、台湾は台湾。「台湾人」としてのアイデンティティーをとても大切にしています。だから彼らは「中国人」と呼ばれることを激しく嫌い、中国との違いを誇りに思っている人さえ見られます。しかし台湾人代表が言ったように、政治的・歴史的には、現在台湾は一つの国として認められていません。「自分は台湾人だって自信を持って言いたいけれど、政治の問題を考えると“台湾人アイデンティティー”が一体何か、分からなくなる。日本人は自分の国があっていいね。」と台湾人の友人が悲しそうに言った瞬間を、今でもはっきりと覚えています。

台湾は「台湾」という一つの国か、中国か。

留学中ずっと考えてきたこの疑問への答えはまだ出ていません。台湾の蔡政権が掲げる「一国二制度の現状維持」も、両者の関係が曖昧なまましばらく続きそうです。

けれど、中国人と台湾人は親友になれないか。それは絶対に違う。上記に述べた学生会議で、中国代表と台湾代表が中台関係について一晩中語り合った後で、笑い合い肩を組んでいるところや、中国からの留学生が現地の台湾人学生と仲良くグループワークをする様子を目にし、そう強く信じています。

それに、私は日本人だけれど、「みなみの日本人らしくないところが好きだ」と言ってくれる留学生の友人が沢山います。留学中に大好きになった人も、すっかりアメリカ人だと思っていたら、台湾人とエジプト人のハーフだったとしばらく後から気が付いたし、言語交換の相手は台湾人だけれど中国の歌手が大好きです。
だから、相手を好きになるのに、どこの国の人かなんて関係ないんじゃないかな。

「台湾は台湾だ」
「台湾は中国の大切な一部だ」
どちらの考えを持っていたとしても、お互いが意見の違いを好きになれるように。

「台湾ほのぼの通信」を読んでくださる皆さんに、そんな願いが伝わったら嬉しいです。



Minami Kanazshi

投稿者について

Minami Kanazshi: 国際教養大学3年生の金指(かなざし)みなみです。 現在、台湾・国立台湾大学で、大学の授業に、中国語の勉強に、台湾人とのご飯会に、現地のダンスサークルでの練習に、毎日盛り沢山な留学生活を送っています。 美味しいものをたくさん食べて、たくさん運動して、あったかい現地の人とたくさん交流して。外見も内面も、“台湾美女“になって帰国するのが密かな目標です。 ゆるゆるほのぼのな台湾での留学生活を共有し、一人でも多くの方を笑顔にしたい、そう願って記事を書かせていただきます。半年間どうぞよろしくお願いします。 ・台湾留学生のFBページ ・台湾留学に関するFBページ ・国際教養大学の留学ブログ