
ジャーナリスト・陳言 山名健司さん : 日中が共有できる経験から
山名さんは四川で日中両国の大きな違いも目にした。
「四川は綿陽(四川大地震で最も大きな被害があったところ)を全く新しく作り直したのです」
山名さんは驚きを隠せない様子で言った。日本だと同じようにはいかないことだろう。
日本政府が津波の被害を減らすために更に高い防潮堤を築いたり、新しい場所に居住区を作ったり、といった話はまだほとんど耳にしていない。
「日本は被災者に対する心理的なサポートが比較的多いと思います」
山名さんは続けた。物質的に豊かな日本、援助物資よりも被災者に対する関心や思いやりがより必要とされる場合が多々ある。そうした日本の経験も今回山名さんのメンバーを通して中国のボランティアたちに伝えることができたのだった。
山名さんは自身が発見した日中両国の救援活動における共通点と相違点、そして数々の情報交換を通じて、今後も多くの分野で市民レベルの日中交流を押し進めなければならないと感じた。国際交流センターが組織した救援ボランティアの日中交流は今回が第一回だが、これからも他の分野での交流や、更に掘り下げた交流が期待できるだろう。
その28 清水美和さん : 文革の影響を受けた記者
その27 大野信行さん:リーマンショックをきっかけに
その26 安藤裕康さん : 外交官から転身して
その24 坂東玉三郎さん : 女形の極みから
その23 本田雅一さん : フリーランスジャーナリストとしてのスピリット
その22 石島幹也さん:メイクの可能性
その21 森下洋子さん : 40数年前の衣装とともに
その20 後藤雄三さん:環境保護と新エネルギーの可能性、そして困惑
その19 野本正明さん : 日立の考えるスマートな次世代都市とは
その18 武田勝年さん:社会貢献の新しいかたち
その17 渡辺日出夫さん:展覧会場を避難所に
その16 早坂裕さん:宮城発・スプレー塗装の革新
その15 本田勝之助さん : 福島の復興のために
その14 及川久仁子さん : “千年鉄器”を作り続けて
その13 栗原小巻さん
その12 山田洋次さん:あたたかい眼差しとともに
その11 鈴木さん:神社の宮司
その10 野松先生と車
その9 辻元清美さん:国内外の民間パワーを被災地に
その8 斉藤裕さん:「家、企業、都市」の概念
その7 普段着の東京:去りゆくネットカフェ
その6 光:大地震後に生まれた新しい命 ― 世代を繋いで ―
その5 ワタナベさん :ハンカチ落とし―バブルのあとに残ったものは―
その4 『言論NPO』代表・工藤泰志さん:救援・甘いもの・ウーロン茶
その3 富岡隆夫さん・雑誌編集長
林先生-地震と停電のなかで
その2 仙台在住の主婦・小林(古城)三千代さん
その1 匿名
ChenYan: 会社経営者 1960年北京生まれ。 1978年に大学に進学して日本文学を専攻した。卒業後に日本語通訳などをして、1989年に日本へ留学し、ジャーナリズム、経済学などを専攻し、また大学で経済学などを教えた。 2003年に帰国し、2010年まで雑誌記者をした。 2010年から会社を経営している。 主な著書は、「中国鉄鋼業における技術導入」、「小泉内閣以来の日本政治経済改革」など多数。