ジャーナリスト・陳言 山名健司さん : 日中が共有できる経験から
山名さんは四川で日中両国の大きな違いも目にした。
「四川は綿陽(四川大地震で最も大きな被害があったところ)を全く新しく作り直したのです」
山名さんは驚きを隠せない様子で言った。日本だと同じようにはいかないことだろう。
日本政府が津波の被害を減らすために更に高い防潮堤を築いたり、新しい場所に居住区を作ったり、といった話はまだほとんど耳にしていない。
「日本は被災者に対する心理的なサポートが比較的多いと思います」
山名さんは続けた。物質的に豊かな日本、援助物資よりも被災者に対する関心や思いやりがより必要とされる場合が多々ある。そうした日本の経験も今回山名さんのメンバーを通して中国のボランティアたちに伝えることができたのだった。
山名さんは自身が発見した日中両国の救援活動における共通点と相違点、そして数々の情報交換を通じて、今後も多くの分野で市民レベルの日中交流を押し進めなければならないと感じた。国際交流センターが組織した救援ボランティアの日中交流は今回が第一回だが、これからも他の分野での交流や、更に掘り下げた交流が期待できるだろう。
ChenYan: 会社経営者 1960年北京生まれ。 1978年に大学に進学して日本文学を専攻した。卒業後に日本語通訳などをして、1989年に日本へ留学し、ジャーナリズム、経済学などを専攻し、また大学で経済学などを教えた。 2003年に帰国し、2010年まで雑誌記者をした。 2010年から会社を経営している。 主な著書は、「中国鉄鋼業における技術導入」、「小泉内閣以来の日本政治経済改革」など多数。