我眼中的日本人 – 本田雅一:独立撰稿人的独立精神
そんな中、本田さんの毛色は少々異なる。
「私はフリージャーナリストです」
初めてお会いしたとき、彼は自己紹介で言った。そして中国語に翻訳された彼の著作『インサイドドキュメント「3D世界規格を作れ!」』を私にプレゼントしてくれた。日本のテレビ業界、なかでも3Dをテーマに彼が追いかけたドキュメンタリーだ。
「まだ実際には読んでおりませんが、どんなことをお書きになったかはだいたい分かります」
私がそう言うと本田さんは怪訝そうな顔で、しかし目を見開き表情をほころばせながら、
「え?日本語版をお読みになったんですか?」
と尋ねた。
「そうではありません。でも本田さんの書かれた記事をいつも真剣に読んでいるので記憶に残っているのです」
私は答えた。
私は毎日まとまった量の日本の新聞や雑誌、専門書を読んでいる。その中で書き手の視点や立場が明確なものだけが記憶に残る。メジャーな新聞各紙の記事は読んだそばから消えて行く、という感覚だ。一方で本田さんの文章の印象はいつまでも鮮やかに残っている。
本田さんと3Dやハイビジョンについて、そして液晶テレビから家電メーカーの今後までを語り合った。話は中国メーカーと日本メーカーの競争や協力についても及んだ。
実際本田さんは新聞社の経済部記者と比べ独特な存在だ。しかし情報が平均化している日本、本田さんだけに特ダネが集まる可能性は考えにくい。本田さんの強みはその独自の視点・観点にある。本田さんは自身の見解、例えばメーカーに対する批判などでも忌憚なく文章に綴る。当事者にとっては耳の痛い話であろうが、事実は事実としてメーカーの戦略ミスをいずれは誰かが総括しなければならないのだ。本田さんがその役目を果たす=IT家電メーカーに対する新しい認識を人々に示すことになるのではないか。
「今後の記事はどこに重点を置かれますか?」
私の問いかけに対して
「日中協力の可能性についてもっと書きたいと思います。中国は人材も豊富で、その背後には大きな市場が広がっています。もし日中協同で国際市場を開拓できれば、日本企業の高コストという問題を解決できると思うのです。テレビはもはやハードとソフト、そしてサービスという三位一体での運営に変わってきています。これから皆さんにお伝えしたいことはたくさんあるでしょう」
北京に来た本田さんは答えた。
私はこの言葉から、本田さんが日本のIT家電の問題点を指摘するだけでなく、問題解決についても考えを持っているのだと思った。中国人消費者は日本製品に対して、作りが精巧で使いやすく壊れにくいという一定の理解を持つ。このことは日本の評論家、とりわけ本田さんのようなフリージャーナリストによる鋭い分析の賜物と言えるかもしれない。
日本のメディアにおけるフリージャーナリストの役割は非常に大きいと言える。しかし中国メディアにはこうしたフリージャーナリストがほとんどいない。
ChenYan: 会社経営者 1960年北京生まれ。 1978年に大学に進学して日本文学を専攻した。卒業後に日本語通訳などをして、1989年に日本へ留学し、ジャーナリズム、経済学などを専攻し、また大学で経済学などを教えた。 2003年に帰国し、2010年まで雑誌記者をした。 2010年から会社を経営している。 主な著書は、「中国鉄鋼業における技術導入」、「小泉内閣以来の日本政治経済改革」など多数。