第十回 留学生の友人

2016年8月17日 / 留学のすゝめ

(写真)2009年の優勝メンバー

留学中に仲良くなる友達は中国人だけではありません。いえ、語学クラスの授業に出席するのは留学生だけですので、一般的には他国の留学生と仲良くなる人の方がずっと多いでしょう。私も例に漏れず、世界各国の友人ができました。

「北京商学院」時代では、なんといっても半年間ほぼ毎日寝食を共にしたルームメイト、インドネシアの黄くん。あの半年間における中国語の飛躍的な向上は、彼なしにはあり得ませんでしたし、パソコンのブラインドタッチを教えてくれたのも彼でした。

8年間の「対外経済貿易大学」時代では、数えきれないほどの友人ができました。それもそのはず、この大学には世界約130カ国から3000人近くの留学生が一堂に会しており、「ミニ国連」の様相を呈しています。留学生総数100人に満たない当時の北京商学院とは比較にならないスケールです。

「対外経済貿易大学」で最初に仲良くなった留学生は、韓国人本科生(学部生)の朴くんでした。彼とは、一緒に食事したり、スポーツをしたり、また北京郊外まで植樹にも行きました。中国で一番多い留学生は韓国人。その後も多くの韓国人留学生と知り合いましたが、気が合って仲良くなったのは不思議と彼だけでした。

アメリカ人のCarrieさんとは相互学習をしました。中国語学習のために他の言語を完全に忘れ去っていましたが、大学院入学前に英語のレベルアップが必要となり、偶然知り合った彼女と相互学習をすることになったのです。彼女が英語を、私は中国語を相手に教えました。日本人が母語ではない中国語を教えるのも変ですが、彼女曰く、

「外国語として習ったことのない中国人より、中国語を基礎から勉強したハイレベルの外人に習った方がわかりやすい」

とのこと。その時すでにHSK11級を持っていたので、きっとそれが魅力的だったのかもしれません。

小学校二年から始め今現在も続けているサッカーがここでも大活躍。2006年から2009年までの4年間、全ての留学生が所属する「国際学院」サッカーチームのキャプテンを務めました。サウジアラビアのAzizくん、イタリアのAlexくん、ベトナムのAshengくん、タイのTitくん、ラオスのJunchengくん等々、多くの素晴らしいチームメイトに恵まれ、学内大会で4年連続の優勝を達成しました。

大学院時代は、タイ、インドネシア、アメリカ、カメルーン、アルジェリア、アゼルバイジャンなど世界各国から、修士・博士学位を求めて集まった多くの留学生クラスメイトとも親睦を深めました。

海外留学の魅力は語学力の向上だけではありません。異なる国から来ている学生を通じて、今まで知らなかった新しい世界に触れることができます。また、世界各国の留学生との交流は、グローバル人材に必要な国際的素養や感覚を養うと同時に、国際的コミュニケーション能力の養成・向上に資するでしょう。

各分野のグローバル化が急速に進む中、まさしく今日本で求められている人材です。

海外留学は最高の自己投資だと思います。


Yusaku Nishimura

投稿者について

Yusaku Nishimura: 対外経済貿易大学副教授  2010年6月に中国の経済金融系重点大学である対外経済貿易大学で経済学博士を取得し、同大学国際経済研究院で専任講師として採用される。  2013年1月より同大副教授。日中両国でのコラム執筆や講演活動も精力的におこなっている。  中国の外国人の大学教員の立場は、自国の言葉で教える非常勤講師か、海外の大学教員でありながら中国でも講義する客員教員が一般的。日本人を中国人枠での専任講師として採用するのは極めてまれで、人民日報やChina Dailyなどでも大きく紹介された。