第11回 長江商学院MBA Tony(男性)27歳
知的好奇心の強さはクラス一。8月から米国コロンビアビジネススクールに交換留学へ

(写真)クラスメートとスペインのバルセロナ旅行へ出かけたTony。 8月から交換留学のためニューヨークへ。常に世界を見据えています

<プロフィール>
1984年生まれの一人っ子、北京市出身。両親ともにエンジニアとして長らく国営企業勤務。その後、父親は起業し、会社経営に従事。学生時代は知的好奇心が強く、勉強だけでなく、水泳、合唱団を経験。特に大学時代は朝から晩まで図書館に入り浸るのが大好きだった。大学卒業後、父親の会社でエンジニアとして約4年間勤務。長江商学院MBAに入学し、エンジニアからファイナンスの世界へキャリアチェンジを目指す。四川省出身の美人な嫁がいる。

厳しい教育・しつけの両親の下、6歳から英語漬け。学生時代は勉強、水泳、合唱団とマルチタレントを発揮

Q. 子供の頃、両親はどんな人だった?

A. 父親は国営企業(重工業)で長らくエンジニアだったが、2年間ハルビンで技術経営を学んだ後は起業し、エンジニアとして現場で働きつつ、マネジメント職に就いた。母親も国営企業でエンジニアをしていた。教育・しつけに関しては、母親はすごく厳しかった。小学校に入る前に母親から英語を勉強するように催促され、友達が遊んでいるのを横目に英語の勉強をしていた。当時としては珍しかったと思う。ただ、私の性格上新しいことにチャレンジするのが小さい頃から好きだったので、自ら進んで英語の勉強を続けることができた。父親は寛容で、私の選択をいつも支持してくれた。父親からは新しいことにチャレンジする大切さを教わった。

Q. 学生時代はどんな生活だった?

A. 高校時代は、周りの生徒たちと同様によく勉強し、歴史が大好きだった。歴史は繰り返すものなので、歴史を勉強していると、現在や未来のことがある程度予測できるのがとても面白い。歴史上の人物では、社会を良くするために革命や改革を起こした人たちが好きだ。スポーツは水泳が大好きで、家の近くにあった水泳場に毎日のように通って練習していた。高校時代の同級生の7割以上はエンジニアになるため、技術系の大学に。私もエンジニアであった父親の影響があり、エンジニアを目指し、北京航空航天大学に入学した。大学時代もよく勉強したが、図書館にいるのが大好きだった。本当に様々な本を読んでいた。歴史や経済を中心に、授業がない日は一日中図書館にいて本を読んだ。ここで自分の知的好奇心の強さに気づくことができた。新しいことを学ぶのは本当に楽しい。また、大学の時はコーラスクラブに入って合唱にのめりこんだ。3年生の時に副部長に昇進し、クラブの管理全般を担当し、組織を運営していく大変さを学ぶことができた。また、コーラスクラブではチームワークの大切さを学んだ。コーラスでは個々のパートだけが飛びぬけてはダメで、全体のバランスを保つこと、チームが一丸となって調和することの大切さを学んだ。あのときは皆必死に最高の合唱をしようとして、素晴らしい一体感だったと思う。この経験から、中国人は決してチームワークが不得意なのではなく、一つにまとまるゴールや目標が少ないために、チームワーク力が醸成されにくいのではと思う。

父親の会社でエンジニアとして働くも、自分はエンジニアに向いていないことに気づき、長江商学院MBAに入学し、キャリアチェンジ

Q. これまでのキャリアは?

A. 卒業後は父親の薦めから、父親の会社(測定器製造販売)とその関連会社でエンジニアとして約4年間働いた。プロジェクトマネージャーとしてチームを率いたり、開発に従事したりと、やりがいのある職場だったが、徐々にエンジニアの仕事は退屈だなぁと感じてもいた。毎日同じことの繰り返しで、ロボットのような一面があると思う。そう感じるということは私には向いていなかったということだろう。私の性格はとにかく効率を追求し、どんどん自分で仕事を片付けていき、成長・変化していくのが好きなタイプだ。国営企業のような大きな会社よりも小さな会社やチームで仕事を効率よく仕上げていき、社会にインパクトを与えることができる仕事がしたいと感じていた。

Q. なぜ長江商学院MBAを選んだの?

A. とにかくキャリアをエンジニアからファイナンスに変えたかったのと、私と同じような考えをする仲間を見つけたかったのが大きな理由。長江商学院は豊富なビジネスネットワークがあるので、様々な業界、年齢、異なるバックグランドの人たちに出会え、私の知的好奇心が満たされ、とても楽しい。

Q. 卒業後の進路は?

A. 卒業後は、投資銀行でバンカーか株式アナリストになりたいと思っている。この二つとも幅広い企業にアクセスでき、私の知的好奇心が大いに発揮できる領域だと考えている。それに、効率を求める、優秀な人たちと仕事ができるのが特に楽しみだ。遠い将来は、ウォーレン・バフェットのように、ファンドを立ち上げ、世界中の企業に投資していきたい。



Akinori Ouchi

投稿者について

Akinori Ouchi: 現在、日系事業会社の香港を拠点に中国関連の事業投資に従事、中華圏在住8年目。 1980年11月生まれ。大学在学中に日本の公認会計士試験(旧第二次試験)に合格。 大学卒業後、米系投資銀行でIPO引受/M&Aアドバイザリー、ネット系ベンチャーで事業開発を担当。 30代は「海外で活躍する」という夢を実現しようと、29歳のときアジアの時代に中国のトップビジネススクールである長江商学院に私費MBA留学。優秀なクラスメートたちに刺激され、卒業後は中国に残ることを決意。 留学や仕事で4年過ごした北京を離れ、2014年7月から香港へ移住。