第20回 長江商学院MBA Julia(女性)31歳
二児の母親がMBA後、起業を決意!超タフな中国人女性の代表格




<プロフィール>
1980年、北京市東城区生まれ。両親はともに大学の教授。中学時代はシンクロナイズドスイミングに没頭し、国内2位の実績。高校時代は転校後の新しい学校になじめずほぼドロップアウト状態に。大学はデザインを専攻し、マーケティング、広告ビジネスに高い関心を示す。大学卒業後は、香港系、シンガポール系企業でマーケティング職に従事。長江商学院MBA終了後は、起業を決意。二児の母親。

中学時代にシンクロナイズドスイミングで国内2位の実績。高校時代はやんちゃに過ごす

Q. 子供の頃、両親はどんな人だった?

A.両親ともに大学の教授(父親は数学、母親は社会学)で、私の幼少期に両親は私を連れて、博士号を取得するためにパリへ行った。両親はあまりに勉強に忙しかったので、半年後私を北京に帰国させ、その後は祖父母が私を世話してくれた。父親は8年、母親は5年パリで過ごしたので、伝統的な中国の両親とは違って、おおらかで、寛容的だ。私はこれまでも自分の判断で学校やキャリアを決めてきたし、親に相談するといつも適切なアドバイスをくれた。とても自由な家庭環境だった。

Q. 学生時代はどんな生活だった?

A.小学校から中学校にかけて6年間、シンクロナイズドスイミングに熱中した。毎日3時間以上の練習を続け、中国国内の大会で2位を獲得したことがある。私は当時から身長が高く、足が長かったので、このスポーツにとても合っていたし、大好きだった。私は何か好きなことを見つけると、とことんやるタイプだ。一転、高校時代はトラブルメーカーだった。その原因は、両親の仕事の都合で転校し、新しい高校に移った時に友達とうまく馴染めず、寂しい思いをすることが多かったからだ。学校では勉強もせず、友達とも遊ばず、学校の外の仲間とよくつるんでいた。バンドをやっている少し悪そうな人たちとよく遊んだし、ケンカしたり、暴れたりして、やんちゃな高校時代を過ごした。今となっては良い思い出だ。音楽や芸術が好きだったので、大学は北京工商大学に入学し、マーケティングと広告ビジネスを専攻した。特に広告のクリエイティブサイドに熱中し、デザインの基礎から学び、実際の広告デザインまで幅広くデザインを学んだ。さらに、アメリカの大学院でデザインをもっと学びたかったので、大学院に入学するための英語のテスト(TOEFLやGRE)を猛烈に勉強し、数校からオファーをもらった。しかしながら、不運なことに、2001年9月11日にアメリカ同時多発テロ事件が起き、大学院への入学許可はあったもののビザが下りず、米国留学は断念せざるを得なくなった。本当に残念だった。その後はずっと広告会社でインターンをして大学時代を過ごした。

香港系とシンガポール系企業でマーケティング職に従事。MBA卒業後は起業に挑戦!

Q. これまでのキャリアは?

A.大学卒業後は、香港にある世界一のゴルフ場運営会社でマーケティング職に就いた。香港は英語と広東語が公用語で、純粋な北京人の私からすると生活しづらく、寂しく感じることが多かった。そのため、1年半でこの会社を辞め、北京にあるシンガポール政府系のKepplelandに転職した。この会社は不動産業、オイル業、建築業の3つを経営し、私はマーケティング全般を担当した。このシンガポール会社は、シニアメンバーはすべてシンガポール人で、ミドルメンバーやジュニアスタッフは中国人を採用していた。シンガポール人は中国語は理解できるが、あまり話そうとせず、仕事はいつも英語でやっていた。私は4年半、Kepplelandで働いた後、二人目の子供ができたので退職し、MBAを通して少し休みつつ、経営を勉強することに決めた。MBAに入学まではGMAT試験の準備をしたり、私の夫の会社を手伝っていた。私の夫はフランスで10年間ワインビジネスを手掛けていて、私の叔父が中国で経営していたワインの会社を夫が引き継ぎ、今は彼が社長として経営している。従業員は約260名で、中国国内で6つの支社を持つ規模にまで成長している。

Q. 卒業後の進路は?

A.自分で新しい会社を立ち上げることに決めた。ユニークなアクセサリーやグッズをネットで売るビジネスだ。中国人は価値観が多様化してきており、高級品やブランド品だけに目が向いていたのが、ユニークなもの、自分だけのオリジナルなものを求める傾向になってきている。これまでのデザインやマーケティングの経験を活かし、優れたアーティストを発見し、彼ら彼女らの商品を中国国内でネットを通して販売していきたい。アメリカに同じようなビジネスモデルが既にあり、それを参考にしている。日本にも優れたユニークなアーティストがたくさんいるので、ぜひ見つけたら私に紹介してほしい。



Akinori Ouchi

投稿者について

Akinori Ouchi: 現在、日系事業会社の香港を拠点に中国関連の事業投資に従事、中華圏在住8年目。 1980年11月生まれ。大学在学中に日本の公認会計士試験(旧第二次試験)に合格。 大学卒業後、米系投資銀行でIPO引受/M&Aアドバイザリー、ネット系ベンチャーで事業開発を担当。 30代は「海外で活躍する」という夢を実現しようと、29歳のときアジアの時代に中国のトップビジネススクールである長江商学院に私費MBA留学。優秀なクラスメートたちに刺激され、卒業後は中国に残ることを決意。 留学や仕事で4年過ごした北京を離れ、2014年7月から香港へ移住。