第十五回『The Sound of Music』

2016年8月26日 / Let it Beijing



(写真)天娱のロゴ


早速打ち合わせの日取りを決めて双井という駅の目の前にある大きなビルの数フロアを占める「天娱」という会社に向かいました。日頃遊んでいる中国人に「天娱」と言えば誰でも知っているというくらいこちらのエンターテイメント系で有名な会社です。

早速音楽ディレクターの吴さんを紹介され、主要スタッフが集まる重要な会議に参加しました。皆さん活発に議論を進めていき音楽以外の部分は専門用語も多く聞き取れないのですが、いきなり耳を疑うような発言が出てきました。

「明後日挿入歌を使ったシーンの撮影があるのですが、挿入歌を新たに編曲してほしいです。」

今日は主題歌の編曲の話で呼ばれたはずなのでいきなり度肝を抜かれたのですが「撮影は明後日だが歌の録音を事前にする必要があるので明日の昼にはほしい」と、かなりタイトなスケジュールを要求されてしまいました。

前回書いたように出来れば2〜3日もらえると嬉しい編曲を18時間後にはほぼ完成形を制作してレコーディングスタジオに着いていないといけないとなると結構大変です。納品して終わりならいいのですが、歌録りをしてMixingという作業をして…と徹夜でクリエイティヴな仕事を中国語でやる…となると相当体力も使います。

また、その日は妻の知人と会食の予定があり大好きな北京ダックを食べにいくことで頭がいっぱいだったこともあり引き受けたくなかったのですが、ここでOKと言わないと話が進まないことがわかったのでとりあえずOKと言ってみることにしました。不幸中の幸いなことに編曲する楽曲が「孤独な羊飼い(サウンドオブミュージック)」と聴き慣れた楽曲なので、制作自体は問題なく進みました。

と、毎日のように唐突に案件をお願いされる段取りがあってない状態が常に続いていくのでした。

※下記URLは主題歌です。

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Mine Kawahara

投稿者について

Mine Kawahara: 河原嶺旭(かわはら みねあき) 1988年10月18日生まれ。 神奈川県横浜市出身。 17歳から音楽を始め、20歳でテレビドラマ「メイド刑事」挿入歌で作曲家デビュー。2011年にAKB48に提供した『風は吹いている』が160万枚を越えるヒットとなり『アイドルと同世代の作曲家』として注目を集め、同年の年間作曲家売上第三位を獲得。アニメ・ゲーム関係の仕事も数多く手がけており、雑誌のコラムの執筆や教育関係など仕事の幅は多岐にわたる。2013年より、北京・上海を中心に活動している。