第十七回『You’ve Got A Friend』

2016年8月26日 / Let it Beijing



(写真)ディレクターの吴さん(左)と作曲家の文軒(右)さん


「劇伴」と言われて何かわかる人は少ないと思いますが、映画やドラマのBGMのことです。
バラエティーやその他のBGMも基本的には同じなのですが、映画やドラマの場合は映像との親和性が重要になります。

基本的には日本も中国も同じなのですが、今回の「爸爸去哪」は撮影場所がフィジーのため南国感のある音を要求されます。

正直音楽に関しては何にも問題はなかったのですが、この案件は本当に日本ではあり得ないことがひたすら起きていきました。

例えば

「社長も含めて関係者で映像チェックをする」と言われて15人ほどが集まり会議を始めようとすると別のスタッフがやってきて「今日はまだ映像が出来ていないので、後日になります」と言われてその日は何もせずに解散したり

本来は「第一稿は一週間で制作をお願いします」と言われていたものが3日に変わったり

ここは中国なので郷に入っては郷に従おうと思いましたが、このプロジェクトの音楽ディレクターの吴さんも「中国でも稀なケース、どうか誤解しないでほしい。」と、申し訳なさそうに言っていました。

今回は映画の音楽を私と文君で半分ずつ制作しています。
文さんも理不尽な制作に怒り心頭の様子でしたが、大変な案件をお互いに協力しあうことで友情が芽生えていきました。

幸い彼は日本車に乗り日本食も大好きでJ-POPも詳しい(椎名林檎さんのファンでした)こともあり、打ち解けるのも早かったんですけどね。

中国はよく会って打ち合わせをする文化が強いので毎日のようにどこかで会うのですが、連日議題に挙がる無茶振りに頭を悩ませながらも制作は続いていきました。



Mine Kawahara

投稿者について

Mine Kawahara: 河原嶺旭(かわはら みねあき) 1988年10月18日生まれ。 神奈川県横浜市出身。 17歳から音楽を始め、20歳でテレビドラマ「メイド刑事」挿入歌で作曲家デビュー。2011年にAKB48に提供した『風は吹いている』が160万枚を越えるヒットとなり『アイドルと同世代の作曲家』として注目を集め、同年の年間作曲家売上第三位を獲得。アニメ・ゲーム関係の仕事も数多く手がけており、雑誌のコラムの執筆や教育関係など仕事の幅は多岐にわたる。2013年より、北京・上海を中心に活動している。